「QBハウス」がアジアの時短市場を攻略 「日本クオリティ」で模倣店駆逐、世界一へ

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 ヘアカットサービスのみを提供する、いわゆるジャストカット市場最大手のQBハウスがアジアでも好調だ。2014年1月末時点で、日本国内471店舗に対して、アジア81店舗。うち、シンガポールが32店舗、香港が42店舗、台湾が7店舗である。日本は年間1400万カットに対して、海外は230万カットで海外比率は約16%。今年も1月だけ見れば、旧正月需要もあり海外比率は19%を占めている。同社にとってのアジア事業、そしてアジアにおける同社の存在感がますます高まっている――。
シンガポールにあるQBハウス

日本にはない「シェル型」店舗が奏功

QBハウスの成長は、日本と同じくアジアにも「時短」ニーズがあることを証明している。アジアが経済成長を果たし、そこで暮らす人々が豊かになり、自分に与えられている時間の価値をより感じるようになる。その結果、より短い時間で品質の高いサービスを受け、自分の時間を削り出したいと考えるようになる。「10分1000円」とはつまり、「1時間6000円」。決して安いサービスではない、「むしろ高級店」(広報担当者)。それでも、QBハウスを選択しているのだ。

アジア人の時間をより削り出す工夫として、日本では法規制が厳しく提供できない業態がある。「シェル型」店舗だ。これは1坪の広さに1席のみが置かれて壁に囲われた組み立て式の貝型の店舗のこと。オフィスビル内の休憩スペースやショッピングモールの小さな空きスペースなどに置かれ、空いた時間で髪を切ってしまいたい仕事中や買い物中の客に利用されている。賃料の高いシンガポール(今はない)や香港では、経費削減のためにも重宝しているという。商業施設としても、エレベータホール前や通路などの遊休スペースの有効活用のひとつとなっている。

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