「QBハウス」がアジアの時短市場を攻略 「日本クオリティ」で模倣店駆逐、世界一へ

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

参入障壁が低い業態で勝ち残るには?

アジアでジャストカット市場に参入するのは、法規制が緩く容易なのだ。日本で理美容師になるには国家資格が必要だが、アジアでは必要ない。昨日まで髪を切ったことのなかった人であっても、次の日からヘアカットすることも可能だ。さらに、保健所の許可も必要ない(台湾はあるがそれは形式上という程度)。美容室を経営した経験がなくても、場所とハサミさえあれば始められるのだ。しかし、こうした「模倣店舗の影響はいっさい出ていない」とキュービーネット インターナショナルのディレクター古谷亮二氏はいう。

ジャストカット市場で最も重要なのは技術だという。QBハウスは「日本のクオリティ」を海外にも移植することに注力している。日本から海外進出する多くのサービス業は、現地の会社とのフランチャイズにより出店しているが、QBハウスの海外店舗はすべて直営で運営。日本人スタイリストがトレーナーとして現地に赴任し、現地のスタイリストをトレーニングし、また各国の幹部候補社員を日本に呼びマネジメントの研修を行うなど、技術・サービス・経営すべての面において、日本と同じレベルにまでクオリティを高めようとしている。年1回、日本で開催しているカットコンテストに参加したシンガポールのマネジャーが、一昨年3位に入賞したのは象徴的なエピソードだ。

キュービーネット インターナショナルのディレクター 古谷亮二氏

ひいき目に見ても、模倣店舗は「安かろう悪かろう」だという。床には切られた髪の毛が落ちたままで、店内は暗く一見の客は入りづらいところもある。しかしそうした店舗にかぎって短期的な利益ばかりを追求し、根気よくスタッフを育てることができない。そして1年足らずで閉店するところがほとんど。規制の厳しい日本で育った強みが、今、アジアで生かされている。

今後は、既存の進出国での出店ペースを加速しつつ、台湾を足掛かりに中国大陸への進出も狙う。さらに、アジアのほかの国や欧米にも必ず出店する考えで、すでに具体的な進出国を検討するための市場調査にも着手している。直近の目標は来店客数の海外比率を30%までに引き上げること。そして将来的には、年間来店客数1億人を誇る世界一のヘアカット専門店を目指す。

岡 徳之 ライター Noriyuki Oka Tokyo 代表取締役

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おか のりゆき

1986 年長崎県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、PR 会社ビルコムで2 年4 ヶ月勤務。2011 年8 月に企業PR・ウェブ企画開発・編集ライティングを専門分野として開業。現在はシンガポールを拠点に事業運営に携わる。国内大手企業のウェブプロモーション業務に従事する傍ら、CNET Japan やITmedia など国内の有力ニュースサイトを中心に10 数媒体で執筆を担当。ライターとしての専門領域はIT・ビジネス・マーケティング・クリエイティブ・ライフ・グルメ・人物インタビューなど多岐に渡る。事業会社が運営する自社メディアでの編集ライティング案件にも携わる。異なる専門領域を持つフリーライターと連係し、編集プロダクション的機能も果たす。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事