参入障壁が低い業態で勝ち残るには?
アジアでジャストカット市場に参入するのは、法規制が緩く容易なのだ。日本で理美容師になるには国家資格が必要だが、アジアでは必要ない。昨日まで髪を切ったことのなかった人であっても、次の日からヘアカットすることも可能だ。さらに、保健所の許可も必要ない(台湾はあるがそれは形式上という程度)。美容室を経営した経験がなくても、場所とハサミさえあれば始められるのだ。しかし、こうした「模倣店舗の影響はいっさい出ていない」とキュービーネット インターナショナルのディレクター古谷亮二氏はいう。
ジャストカット市場で最も重要なのは技術だという。QBハウスは「日本のクオリティ」を海外にも移植することに注力している。日本から海外進出する多くのサービス業は、現地の会社とのフランチャイズにより出店しているが、QBハウスの海外店舗はすべて直営で運営。日本人スタイリストがトレーナーとして現地に赴任し、現地のスタイリストをトレーニングし、また各国の幹部候補社員を日本に呼びマネジメントの研修を行うなど、技術・サービス・経営すべての面において、日本と同じレベルにまでクオリティを高めようとしている。年1回、日本で開催しているカットコンテストに参加したシンガポールのマネジャーが、一昨年3位に入賞したのは象徴的なエピソードだ。
ひいき目に見ても、模倣店舗は「安かろう悪かろう」だという。床には切られた髪の毛が落ちたままで、店内は暗く一見の客は入りづらいところもある。しかしそうした店舗にかぎって短期的な利益ばかりを追求し、根気よくスタッフを育てることができない。そして1年足らずで閉店するところがほとんど。規制の厳しい日本で育った強みが、今、アジアで生かされている。
今後は、既存の進出国での出店ペースを加速しつつ、台湾を足掛かりに中国大陸への進出も狙う。さらに、アジアのほかの国や欧米にも必ず出店する考えで、すでに具体的な進出国を検討するための市場調査にも着手している。直近の目標は来店客数の海外比率を30%までに引き上げること。そして将来的には、年間来店客数1億人を誇る世界一のヘアカット専門店を目指す。
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