ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇
今回の事態に対して、「ユニゾの小崎(哲資)社長は、とにかく自分の独立王国を死守したいのだろう」(別のM&Aアドバイザー)と評する声がもっぱらだ。
そもそもユニゾは、常和ホールディングスという旧日本興業銀行(現みずほ銀行)系の不動産会社として発足。今も小崎社長を筆頭に旧興銀出身者が経営陣に名を連ねている。小崎社長はみずほフィナンシャルグループ(FG)出身で、現在同FGの取締役会長を務める佐藤康博氏とはトップ争いを繰り広げたライバルでもあった。
小崎社長は2010年4月の就任以降、「脱みずほ」を志向し、2018年5月までの5年間で4回の公募増資を実施した。当初はみずほの関連先と思われる株主だけで過半を占めていたが、公募増資によってどんどん希薄化し、みずほ銀行の持ち株比率は3.7%となっている。
これに対しみずほFG側も今回、「水面下でHISにユニゾ買収を持ち掛けるなどした節がある」(別のM&Aアドバイザー)。こうした経緯が、小崎社長のなりふり構わぬ姿勢につながっているという指摘は多い。
「ユニゾは詰んだも同然」
ユニゾの株価は7月のHISによるTOB表明を契機に上昇。10月17日には年初来高値の4980円をつけた。ブラックストーンが提案する5000円に収れんしたかたちだが、そのブラックストーンの提案に対する回答期限は10月23日。「ユニゾは恐らく反対するだろうが、これだけ価格が高くなってきたら説得力がない。ユニゾは詰んだも同然」と前出の外資系M&Aアドバイザーは語る。
M&A先進国のアメリカには、高い買収価格を提示した買い手に会社を売るのを義務付ける「レブロン基準」というものがあり、世界のM&A業界では定着している。アメリカの判例に基づいた基準のため、日本には適用されないという言い分もあるが、「M&A界の常識を覆せば、誰からも相手にされなくなるため主張しづらい」(外資系M&Aアドバイザー)というわけだ。
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