ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇

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ユニゾがあがく可能性も捨てきれないが、一連の混乱は収束に向かう可能性が高い。だが、今回の混乱劇を歓迎する向きも多い。

というのも、小崎社長が就任して以来、ユニゾの株価は下落し続け、HISによる提案前には2000円を割り込んでいた。それが見る見るうちにつり上がり、5000円近くにまで上昇したのだから、塩漬けにしていた既存株主は願ったりかなったりだ。

また、8月以降に筆頭株主に躍り出た米エリオット・マネジメントや、途中に買い増した英バークレイズ・キャピタル・セキュリティーズ、そしていちごアセットマネジメント・インターナショナルなども、高値で売り抜けることができる。

TOB不成立でも得をしたHIS

そして何より得をしたのはHISだ。

7月TOBを発表するHISの澤田秀雄会長兼社長(編集部撮影)

不成立を受けて、すでにユニゾ株を売却して29億円の特別利益を上げている。また、ブラックストーンがTOBに成功した場合、「もうかっているホテル事業をHISに売却する可能性もある」(関係者)といい、くしくも当初の目的を達成することができるからだ。

「こんなことになるなら、ユニゾは初めからHISの提案に乗っておけばよかったのに」

M&A界からはそんな声が聞こえてくる。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

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