ラグビー日本代表の会見に見た圧倒的な人間力

コメントの数々に愛される理由が詰まっていた

驚かされたのは、その直後。司会者が「今日はより多くの皆さまからご質問をいただいたほうがよろしいかと思います。あいさつは、もう今の藤井強化委員長がチームを代表してひと言申し上げました。それがすべてでございます。本当にありがとうございました。それではこれより質疑応答に入らせていただきます」と言い、できるだけ記者たちの質問に答えようとする姿勢を見せたのです。

通常なら少なくともヘッドコーチやキャプテンのスピーチはあって当然なのに、それをせず「1人でも多くの質問に答えよう」というスタンスは、プレーさながらの献身性。まだ選手は1人も声を発していないにも関わらず、あらためて「誰かのために」というピュアなスタンスを見せられ、心をつかまれてしまいました。

リーチ選手が連呼した2つのフレーズ

会見の序盤で印象的だったのは、やはりというべきか、絶大な人気を誇るキャプテンのリーチ・マイケル選手。

「記念すべき日本大会で過去最高のベスト8となったワールドカップを振り返ってどう思いますか?」という質問に、「このチームのキャプテンをやって本当に誇りに思っています。2011年からここまで日本代表の選手っていうのはすごく(誇りを)感じます。ベスト8に行ったこと、すごくうれしいです。そのためにいろんな人が犠牲して、選手も犠牲して、その裏に家族、たくさん犠牲を払ってきました」とコメントしました。

リーチ選手は、このあとの質疑応答でも「このチームのキャプテンをやれて誇りに思っています」と繰り返しコメントしました。このコメントを聞いて「自分の仕事や役職を誇りに思えているのか?」ハッとさせられるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。誰に対しても、自分ではなく組織のことを「誇り」と言い切れるリーダーだから、私たちはリーチ選手が頼もしく見えるのです。

また、3度繰り返した「犠牲」というフレーズも見過ごせないポイント。冒頭の藤井強化委員長がこのフレーズを使っていたことからも、チーム内の共通認識だった様子が伝わってきます。

ただ「犠牲」は、個人の尊重や権利が優先される現代にはフィットしづらいフレーズであるのも、また事実。「組織のために個人を犠牲にしたくない」「それを求められる組織は息苦しさを感じる」という人が増える中、なぜ彼らはこれほど犠牲というフレーズを連呼していたのでしょうか。

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