家族サービスという言葉に感じる日本の残念さ 疲れすぎていてアムールを忘れていませんか

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日本は女性専用車両とか女性専用ホテルとか、女性専用が多いですよね。女子会もその流れかもしれません。日本の男性の中にはお酒の席になると、急に調子に乗って女性を口説いたり、触ったりする人もいますから、女性だけで集まるほうが安全に楽しめるのかな、と思うこともあります。

ここまで書くと、日本人が恋愛に消極的なのは、男性が忙しすぎるから、と捉えられてしまうかもしれません。ただこれには世代的なものもあると思います。

今はトランジションの時期

日本は戦後、経済発展を遂げる中で、とくに男性は仕事や会社中心の生活にならざるをえなかった。ウィークデーは残業したり、仕事が終われば会社や取引先の人と飲みに行くのが普通だったし、ウィークエンドも仕事関係者とゴルフに行った後、温泉に行ったり。

60代くらいの男性に会って、「お嬢さんお元気ですか?」って聞くと、「娘のことは全然わからない」なんて言う。「母親と娘は仲がよくていつも遊んでいるけれど、私はいつもゴルフだから」なんて。でも日本のサラリーマンシステムを支えていたのはこういう文化なのだから仕方ないとも思います。

むしろ大事なのはこれから。今はちょうどトランジションの時期だと思います。今の若い男性は子どもと遊ぶのが好きで、家族との時間を大事にしている人もたくさんいる。パリやニューヨークに比べると、東京や大阪といった大都市の人はやはり忙しすぎるし、時間に対する意識はまだまだ低いと感じます。

日本は今、政府と民間が一緒になって働き方改革に取り組んでいます。もちろん政府や企業には働く時間を減らす工夫や取り組みを進めてもらいたいですが、個人レベルでも限りある時間とエネルギーをどうやって配分するか、本当にやりたいことは何なのか、誰と過ごしたいのかを考えてもらいたいです。アムールを含めて人生をより豊かで充実したものにしてください。

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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