ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図

2025年までは間違いなく市場拡大していく

ノーベル賞の発表を受けて旭化成の本社で会見を行った吉野彰・名誉フェロー(撮影:今井康一)
10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは今年のノーベル化学賞受賞者を発表。受賞者は旭化成の吉野彰名誉フェロー、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授の3人で、リチウムイオン電池の開発で主導的な役割を果たしたことが評価された。
『週刊東洋経済プラス』で公開している吉野氏の1万字インタビューの一部を掲載する。

――リチウムイオン電池は今やIT機器だけでなく自動車にも。例えば、米テスラの電気自動車(EV)には円筒型のリチウムイオン電池が何千本も入っています。

そうです、そうです。いわゆる「18650」というノート型パソコンに使われているものですけどね。これはもう25年ぐらい実績があって、性能も最高レベルに達していて、なおかつ値段が非常に安い。それをたくさん搭載して繋ぐというのは、1つの考え方やね。

何千本もの電池をつないできちんと機能させるためには、バッテリーマネジメントが非常に難しいんです。だから、テスラはそういう技術を持っていたということなんでしょう。

ただ、未来永劫そのやり方がメインストリームになるかどうかはわかりませんけど。

車載用の市場は小型民生用をちょっと追い越している

――角型のリチウムイオン電池のほうは多くのハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に使われています。その良さは何でしょうか。

これもメリット、デメリットがあるんです。

メリットは当然大きな電池を一つ作るほうが、小さな乾電池50本分ぐらいに相当するのかな。要は作るのは楽ですわね。直列、並列にはつなぐんだけども、つなぐ数が少なくて済みますから、バッテリーマネジメントが楽です。

デメリットとしてはまだ大型のリチウム電池はあまり市場の実績がないから、どうしても安全に気をつかって設計せんといかんですよね。本当はエネルギー密度を上げられるんだけど、いきなり無理して上げるわけにもいかない。そうすると、ちょっと性能的には落ちますし、値段的にも当然ね(高くなる)。これから作っていく段階だから、値段もそんなに下がっていない。ちょうど(円筒型と)裏返しの関係ですよね。

今のようなEVが本格的に世の中に出てきたのは2010年前後で。三菱自動車の「アイ・ミーブ」と日産の「リーフ」。たぶんそこがスタートなんです。そこから7、8年が経過して、2017年で小型民生用とほぼ一緒になり、ちょっと車載用が追い越したともいわれる状況なんですよね。

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