ノーベル賞「吉野彰氏」が描くEV用電池の未来図 2025年までは間違いなく市場拡大していく

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――マーケットのサイズが?

そうです、そうです。じゃあこれから先どこまで増えるのか。まあ、当然増えていくんですけど。今のところ間違いないと言われてるのが2025年で、だいたい小型民生用の10倍ぐらい。そこまでは技術的にもこれでいけそうですね、数量的にもそのあたりは見えてますね、となっている。

じゃあ2025年以降にどうなっていくのかは、たぶんいろんな見方がある。2025年で小型民生用の10倍になる規模というのは、車全体のだいたい15%ぐらいなんですよ。もしそれが100%になったら約6倍だから、小型民生用の60倍になる。それが本当に実現できるのか、あるいは別のシナリオがあるのか。そこが今、議論の争点になってると思います。

――部材が足りるのかなど、いろんな論点があります。

だから、資源の問題も含めて、現実として2025年がある意味でギリギリのライン。

――足元でも、中国の企業がコバルトの採掘場を買収するなど、資源を囲い込むような動きがあります。

2025年まではそれほど大きな問題にはならないんだけども、とはいえどうしても投機的な問題が出てきますよね。絶対量としては問題ないんだけども、やはり資源価格が高騰していくとかね。したがって、市場規模が2025年レベルまでいくとしても、それ以降はやはり何らかのリサイクルとか、本当にそういうことが大前提になってくると思います。

日産リーフの航続距離も当初から2倍に延びた

――価格は今後、下がっていくものでしょうか。

大型が作られてもうすぐ10年になるので、コストもどんどん下がってきていますし、当然、技術も向上してきています。実際に作っていくと、エネルギー密度の考え方とか、ある程度のツボがわかってくる。例えば、最初に発売された日産のリーフは1回の充電で走行距離が200キロメートルでしたが、今では2倍の400キロメートルほどになりましたよね。

――大型の角型電池が円筒型のコストパフォーマンスに近づいてくるのは、どんな要因が大きいのでしょうか。

一つは材料です。正極にしても負極にしても、これを改良することでエネルギー密度も上がるし、なおかつ値段も下げますと。どちらかというと材料メーカーの努力です。

もう一つはさきほど言った設計。実際に材料を使って電池にするときに、当初は安全サイド、安全サイドという観点で設計せざるを得なかったんでね。ただ、(生産を重ねていくうちに)ここはちょっともう少し無理がききますねとかが分かってくる。そのあたりはいわゆる電池メーカー、もしくは自動車メーカーの努力でしょうね。

(※)本インタビュー全文は『週刊東洋経済プラス』10月11日配信記事「吉野名誉フェローが語り尽くした電池とクルマの未来」で掲載している。
印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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