東横線とは違う「東急多摩川線」の隠れた実力

路面電車のように乗れ、使い勝手が良い

片道10分という短い路線だから時間のロスも小さい。さらに、日中でも6分間隔の高頻度運転もありがたい限り。

「だから地元の方の中には2駅だけとか乗る方もいますよね。路面電車やバスみたいな使い方をされているのでしょうか」(山口駅長)

鵜の木駅のホームに停車する多摩川線7000系電車。全駅が相対式のホームだ(筆者撮影)

実際、多摩川駅と蒲田駅を除くすべての途中駅は、上り線・下り線それぞれにホームと改札口がある駅構造。改札口からはスロープでホームまで行くことができて、まさしく究極のバリアフリーだ。そうしたあたりも、バスや路面電車によく似ている。

「スペースがないからなかなか駅の改装とかも難しいのでそれは大変なのですけど、だからこそ地元の方との距離の近さにもつながっているのでは」(高塚駅長)

もちろん各駅の駅員と盛んに利用する地元の人は顔見知り。差し入れもそうだし、いつも利用しているお年寄りが駅で体調を崩したときには駅員が車椅子を押して自宅まで送るようなこともあったという。「あの人、今日は来ないねえ」という会話も日常茶飯事だとか。

ほかの東急の路線との違い

東急の路線というと、東急自ら町の開発を手掛けて“東急色”に染めてゆくという印象を持つ人も多いだろう。が、多摩川線は少し違う。鉄道以前からの小さな町と鉄道後にやってきた人たちがうまく融合し、下町という言葉がふさわしいのどかで活気のある駅前風景が形作られている。

そういえば、すべての駅を訪れたが途中駅に“東急ストア”は1軒もなかった。むしろ西友や東武ストアがあるくらいで、ある意味で東急らしくなく、でも東急沿線のかつての姿が今に残る――。多摩川線の魅力はそうしたところにあるのかもしれない。

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