名門女子校の先生が教える女の子を伸ばすコツ ただ共学校に入れても異性を見る目は育たない

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さらに「本当に『いい男』を見分ける力を養いたいなら……」と、「骨董屋」をたとえに出した。「一人前の骨董屋になるためには、日本中、世界中の『本物』や『一流のもの』を、実際に見て触れなければなりません。中途半端なものや偽物にいくら触れても意味がありません。中高生の男子のなかに、それほどに完成された男性がいるはずもありません」と笑う。

「一流」に触れさせること

中高生の頃は、ルックスがよくてちょっと格好つけたような男子がモテる。教室の中にアイドルがいるようなものだ。それをミーハーな女子たちが取り囲む。

クラス内の男女それぞれに、人気ランキングのようなものがあり、女子の1番人気と男子の1番人気が付き合えば順当、女子の3番人気と男子の1番人気が付き合うようなことになると番狂わせとして話題になる。そのランキングが、なんとなく、クラスのなかでのヒエラルキーを構築するという話は共学校出身者からよく聞く。いわゆる「スクールカースト」だ。

しかも中学生・高校生の頃の男子は、同年代の女子よりもさらに幼い。人間としての本質で女性を評価する目など持ち合わせているわけがない。女子を見る目はほとんど外見やノリのよさに頼ることになる。

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そのような価値観で評価され、ヒエラルキーに組み込まれることで、女性としての自分の価値をおとしめてしまう女子も共学校の中にはいるはずだが、女子校ではそのようなリスクはほとんどない。

もし本当に、異性を見極める目をわが子に持たせたいのなら、親がすべきことは、知人のなかから「一流の男性」とおぼしき人物を家に招き、そういう人物の話をじっくり聞かせることだと千葉学園長はアドバイスする。

その男性は若くてもいいし、老人であってもいい。未婚でもいいし、妻子がいてもいい。幼い頃からそういう人物と家族ぐるみで付き合うことで、本当の「いい男」を見抜く眼力が養われるというのだ。これには私も深くうなずいた。

ということは逆に、男の子の親も、ジェンダーにとらわれない「一流の女性」の姿を息子に見せるべきだろう。男女に関係なく、すべての親が意識しておきたいポイントだ。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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