開成校長「好奇心のスイッチ探しが親の役目」

「ハーバード大ベストティーチャー流」子育て

「デキる子の共通点」「子育ての公式」が紹介されている『子どもが勝手に学び出す! ハーバード流 子育ての公式』を開成中学・高等学校の柳沢幸雄校長が読み解く(写真:Ushico/PIXTA)
「いったい、どうしたらこんな優秀な人が育つのだろう?」「この人の親はどんなふうに育てたのか」。こうした疑問の答えはなかなか見つからない。子育ての現場となる家庭という「ブラックボックス」の中は、簡単にはのぞけないからだ。このブラックボックスの分解に挑んだのが、『子どもが勝手に学び出す! ハーバード流 子育ての公式』だ。本書のポイントはどこにあるのか。ハーバード大学時代にはベストティーチャーにも選ばれた開成中学・高等学校の柳沢幸雄校長が読み解く。

教育格差を克服するための応援メッセージ

本書の共著者のうちロナルド・F・ファーガソンはハーバード大学の研究者であり、ターシャ・ロバートソンは質の高い記事で知られるボストン・グローブ紙の記者です。

『子どもが勝手に学び出す! ハーバード流 子育ての公式』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

アメリカで研究者が一般向けに研究内容を紹介する場合、こうした組み合わせはよくあり、本書では主にアフリカ系アメリカ人の家庭に生まれた子どもたちが、経済力や環境に起因する教育格差をいかに克服して進学し、成功をつかんでいったのかという点にスポットを当て、子育てを論じています。

統計データではなくケーススタディーの形をとり、多くの実例を取り上げていますが、その中で著者たちが注目したのは、子どもに社会階層の壁を越えさせようとした親の努力です。

経済力による教育機会格差の拡大は日本でも深刻になっていますが、日本では「どうしようもないもの」と受け取られがちです。しかし本書は、「親がきちんと考えて努力すれば、子どもは格差の壁を乗り越えられる」という応援メッセージになっています。

本書では親の子育てへの関わりを8つの項目に分けており、中でも小学校入学前までを扱っている「学びのパートナー」のパートは、示唆に富んでいると感じました。

私はこれまで日本とアメリカで、大学院、大学の学部で教え、2人の男の子の親として中学高校の教育に関わってきました。そうした経験から強く感じるのは、「子育てで大切なのは、生まれてから小学校入学まで。それまでにいかにして子どもが自信を持てるようにしてやるかがポイント」ということです。

次ページ本書で取り上げられているのは…
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