開成校長「好奇心のスイッチ探しが親の役目」 「ハーバード大ベストティーチャー流」子育て
乗っている間は駅に着くたびに駅名を確認しました。漢字なので読めることもあれば、読めないこともありました。家に帰ってきた後で路線図を与えると、彼はそれを見ながら全部の駅名の読み方を覚えてしまいました。時刻表も渡したら、「この駅とこの駅は2分間」といったことも勝手に覚えてしまいました。
そうやって本人が大好きなことを足がかりに、多方面に知識を広げ、引っぱり上げてやればいいのです。チョイ足しが有効です。
1度子どもの知的な好奇心に火をつけ、1つの分野に自信を持たせてあげれば、その後はずっと楽になります。本人が勝手に好きなことを見つけ、自ら探求するようになるからです。
きょうだいを平等に育てることは不可能か
本書でも指摘されていますが、勉強については一般に成績がいいのはきょうだいの上の子のようです。勉強は学年ごとにカリキュラムが決まっていますから、上の子と下の子の間にはいつも数年の遅れがあり、比較されると下の子は不利です。
親が指摘するまでもなく、下の子は上の子の年になれば遜色なく、あるいは凌駕するかもしれないのに「勉強ではかなわない」と思い、そこから自分の人生を考えるようになります。
私の場合、弟も開成中学に進学し、弟はその後、医者になっています。ですから弟も世間的には十分、秀才といえるのですが、それでも兄と比べられて面白くない思いをすることが多かったようです。
例えば私は試験の前にも普通に寝ていましたが、弟は徹夜で勉強していました。それで成績が私のほうがよかったりすると、親が比べてしまうのですね。「お兄ちゃんは~なのに」という言い方をされると、弟だってカチンときます。本当はそういう比べ方はしてはいけないのです。
反対に体を動かすスポーツについては、下の子のほうが得意な傾向があります。フィギュアスケートの浅田真央さんも女子サッカーの澤穂希さんも、レスリングの伊調馨さんも、きょうだいで同じスポーツをやって、より成功したのは下の子のほうでした。
これは下の子は上の子にくっついて遊び、上のまねをして育つためでしょう。いわば上に引っぱり上げられるわけです。そして、上の子と勝負して、接戦になったり、勝ちでもしたら、大きな自信になるわけです。
こうしたきょうだいの置かれた立場の違いを見ても、「生まれた順番の違いは人生経路の違いをもたらす要素の1つ」なのです。
私にも男の子が2人いますが、「お兄ちゃんだから」「弟だから」という理由で判断を下すことがないよう気をつけました。2人で何か取り合いになったら、すべて「じゃんけんで決めろ」といっていました。
ただ、たとえ親が気をつけてきょうだいを比較するようなことをいわなかったとしても、本人たちはやはり意識してしまうものです。
第7章で取り上げられたきょうだいの生き方の違いを生む原因について、本書では明確な回答はありません。それは仕方ないことでしょう。親がいくら気をつけても、きょうだいを完全に平等に育てるのは不可能なのですから。
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