デジタル時代の新指標「GDP+i」が示す豊かさ

デジタル化の進展で拡大した消費者余剰

研究チームは神戸国際大学の辻正次教授、大阪大学の柿澤寿信講師の協力を得て、2019年7月にLINE、フェイスブックなどの主要SNSに対するユーザー(日本)の支払意思額の研究を行い、そこから各プラットフォームが生み出す消費者余剰を推計したところ、LINEは約7兆円、フェイスブックは約5兆円の消費者余剰を生み出しているという結果が出た。ツイッターやインスタグラムを含めた4つで20兆円にものぼる。

デジタルが生み出す消費者余剰は100兆円以上

さらに研究チームは、ロッテルダム・スクール・オブ・マネジメント(RSM)との共同研究を通じて、有料・無料のデジタルサービスが日本で生み出している消費者余剰の推計を行った。それによれば、日本では2013年には101兆円、2016年には161兆円の消費者余剰がデジタルサービスから生み出されていて、国民1人・1月あたりに換算すると、2016年時点で約10万円となる。

同期間の実質GDP成長率は年0.7%であるが、仮にGDPに消費者余剰を上乗せすると、その合計値は同期間に年率3.8%で増えていることになる。これは冒頭に紹介した「生活者1万人アンケート」が示す結果に、感覚的により近いと言えるだろう。

なお留意すべきは、お店で購入する商品や対面サービスなどの「アナログ」領域からも消費者余剰は発生していて、その数値はここには含まれていないことである。つまり消費者余剰の全体像はこれよりもさらに大きいはずなのだが、消費者余剰の拡大分の大半は、デジタルサービスの普及によるものだとわれわれは考えている。

しかし観念的な存在である消費者余剰を、単純にGDPにアドオンするのは乱暴な議論であろう。そこでGDPを数学でいうところの実数、消費者余剰を虚数的(観念的)な存在として捉えてみたい。

次ページ「GDP+i」でデジタル時代の経済活動を測る
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