映画「永遠の門」が迫るゴッホの創作プロセス

単純な伝記映画でなくゴッホ視点に立つ内容

シュナーベル監督自身、1980年代を中心に新表現主義の中核をなした著名な画家であることから、自然の色と光をスクリーンというキャンバスに落とし込み、ゴッホが思い描いたものを観客が追体験することができるのではないかと考えた。

「1人の画家の目から見た、画家の創作プロセスに迫る」映画だとも言える。彼自身、「自分が画家であるということが、映画への取り組み方に大きく関係していると思う。本作のテーマほど、自分にとって個人的なものはない。これまでの人生でずっと考えてきたものだから」と述べている。

本作には、『昼顔』『ブリキの太鼓』など映画史に残る傑作を数々手がけた名脚本家ジャン=クロード・カリエールも参加、謎の多いゴッホの生涯に1つの道筋を立てている。

カリエール氏は、「われわれが心を惹かれたのは、ゴッホは晩年、新しい視点で世界を見ていたことに気づき、そしてほかの画家とは違った方法で絵を描いていたということだ。そしてわれわれはその新しい視点を描きたいと思った」と語る。

ゴッホは新しい視点で世界を見ていた

本作の劇中、ゴッホはいろいろな人から「こんな絵じゃみんな逃げる」「芸術家きどり」といった辛辣な言葉を投げられる。人々が自分の絵を理解しないことに傷つき、孤独を感じる。だがそれでも彼は絵を描き続ける。自然の中で、光を感じながら。風を感じながら。大地を感じながら――。

画家のゴーギャンとの共同生活や「耳切り事件」についても描かれている ©Walk Home Productions LLC 2018

観客は、本作でつづられる美しい自然の映像美を通じて、ゴッホの創作活動を追体験することになる。「ゴッホが畑で寝転がって、顔に土をかけながら微笑んでいるのを見ると、決して彼が哀れな人間ではないことがわかる」と語るシュナーベル監督は、「われわれは皆、人生の終焉を迎えるが、芸術は死という制限を超えることができる」と指摘する。

本作でゴッホを演じるのは、名優ウィレム・デフォー。『プラトーン』(1986年)、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000年)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017年)と、これまでにアカデミー賞助演男優賞に3度ノミネート。そして本作ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。

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