日本人の9割がわかっていない「資本」の本質 「バランス」ではなく「ループ」で一気に改善

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それではいったい、「資本」とはなんだろうか。

教科書的にいえば、資本とは「生産手段、あるいはその元手となるもの」である。別の言い方をすれば、「価値を生む仕組み」のことだ。

今の世界は、日々新たなサービスや商品が溢れ出ているが、これらを生み出すものはすべて資本だ。

町にある「工場」は資本である。物理的に新しい商品を作り出しているだろう。そしてそれを会社という存在を通して所有するための「株」もまた、資本の1つだ。

株を持っているということは、その会社の資本の一部をそっくりそのまま持っているということに等しい。例えば、ある「工場」の1000分の1を、「株」というもので代替的に所有することができる。

何より、あなた自身もまた資本の1つだ。荷物を運ぶ、書類を作る、誰かに知識を教えるといった仕事を通して、他の人や社会に対して価値を「生産」している。

この資本が主軸となってお互いに自由に組み合わさり、さまざまな新しい商品が生み出され続けることに重きを置いた社会を、資本主義社会という。

「自分も資本」であることがわかると戦略が見えてくる

この社会で最も自由に、生き生きとして生活できるのは「成長する人」である。というのも、それぞれの人に割り振られた「資本」という役割は、価値を生み続け、成長をし続けることを前提としているからだ。その役割を果たすほどに、社会の恩恵を受けることができる。わかりやすくいえば、お金と時間を手に入れ、人生における選択肢や行動範囲が格段に広がるということだ。

そして何より面白いところが、自分自身という「人的資本」だけではなく、株や債券といった「金融資本」、不動産や車などの「固定資本」、会社組織やビジネスアイデアといった「事業資本」まで、ありとあらゆる資本をあなたのアイデアで組み合わせ、一人では到底なしえないような金銭や幸福を実現できるという点なのだ。

こう考えてみると、「この先一生働き続けないといけないのか」という不安や「何をすればいいのかわからない」といった迷いも消えるのではないだろうか。今、この日本で、この世界で自由に生きたいのであれば、働き続けたり、お金を貯め続けたりするのではなく、「資本」を増やすことこそ重要なのだ。

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