是枝裕和が見た「映画界の労働環境」日仏の大差 有名映画監督も悩まされる「人手不足」の危機
「大手になればなるほど海外の意識が薄いし。その辺を変えるべきだという提言は、僕も直接的、間接的にしてきているんですが。最近では、若い人たちに向けた(映画作りの)マスタークラスみたいな授業がアメリカで行われるようなことも増えましたけど、アジア人はほとんどが中国人。日本人は、もうほとんど見かけない。この状況は、10年先、20年先を考えたら、きついなって思いますね」
海外に出て、海外の同業者とふれあい、コミュニケーションを取ることで、当然刺激を受ける。昨年のオスカーキャンペーン中も、いつも同じ候補者とあちこち回るうちに仲良くなり、同じ部門以外でも、バリー・ジェンキンス(『ムーンライト』『ビール・ストリートの恋人たち』)らと話をすることができた。そんな中で、アメリカで映画を撮ることも「意外と遠くはない」と思い始めている。
「描くのは自分ですよ」
「魅力的な役者もいるし、可能性としてはあるなと。でも、今回のパリでは、ファイナルカットももらえたし、日本と同じやり方をやらせてもらったりしたけれども、たぶんハリウッドじゃ無理かなと。それができるなら、チャレンジしてみたいという気持ちは、なくはないですね。ただ、これからは海外だ、すぐにそっちへ、というのではないです」
ついにその日が来ても、是枝監督の映画は、あくまで是枝監督の映画。そこが変わることは、絶対にない。それはあくまで「持つ筆が変わるだけ」のことだからだ。
「これまでは、慣れた鉛筆だったが、水彩画を描いてみた、というような。でも、描くのは自分ですよ」
『真実』は10月11日、日本全国公開。
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