是枝裕和が見た「映画界の労働環境」日仏の大差

有名映画監督も悩まされる「人手不足」の危機

是枝裕和監督は、最新作『真実』をフランスで製作。フランスの撮影現場を通じて感じた日本の映画業界に対する危機感とは?(写真:Stefanie Keenan/Getty Images)

オスカーレースが終わって、はや半年。だが、是枝裕和監督は、相変わらず休む間もない状況だ。最新作『真実』で、ベネチア、トロントと、またもや映画祭回りをしているのである。

ベネチアでは、日本人監督として史上初めて開幕作品に選ばれるという快挙を果たしたが、 “初めて”はそれだけではない。今作に出演するのは、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク。ロケ地はパリで、言語はフランス語と英語なのだ。

フランスでの映画製作は「偶然」

『万引き家族』がカンヌ映画祭の最高賞パルムドールに輝き、オスカーでも外国語映画部門候補に上がった直後だけに、「さすが、次は世界に向けてステップアップしたか」と勝手に納得しがち。

是枝監督の最新作『真実』より(写真:Courtesy of TIFF)

だが、実のところ、このタイミングはただの偶然だ。映画は、フランスの大女優ファビエンヌ(ドヌーヴ)が自伝本を出し、その出版祝いでニューヨークに住む娘(ビノシュ)が夫(ホーク)と娘を連れて帰省するところから始まる母娘ものなのだが、その基本的設定を思いついたのは、もう15年も前なのである。

「楽屋を舞台にした、大女優の話というのを書いていたんです。70歳を超え、キャリアの晩年を迎えた偏屈な高齢女優。母娘の話ではなく、演じること、そして友情についての話でした」と、トロントでの公式上映前、滞在先のホテルで是枝監督は明かす。

ビノシュから一緒に組みたいとアプローチされたのも8年ほど前のこと。「じゃあ何か考えてみますと答え、アイデアのキャッチボールをしていくうちに、あれを母と娘の話に書き換えてみたらどうかと思いついた」のだった。

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