「肩書に執着する50男」ほど心が折れやすい理由 誰もが直面する「人生の2周目」の残酷な現実

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私は社会人相手の市民大学などでも講義をしていましたが、受講生が自己紹介などをする際、職場での自分の肩書や経歴を、とうとうと話す男性に遭遇します。そんなとき、ほかの女性受講生たちがどんどん「引いて」いくのが手に取るようにわかります。「そういう話はしないほうがいいんだけどなぁ」と思ってしまいます。

一般に男性は2周目で肩書を外され、ラインから外れたときのショックが大きい。女性は比較的立ち直りやすい。ですから男性はとくに50歳少し前、40代後半から、会社などの属している組織での肩書やポジションがなくなったときのことをシミュレーションしておくことをお勧めします。

会社の仕事は、続けたくてもやがて限界が来る。そこからの自分をどう方向づけ、マネジメントしていくか? 今の会社で専門職として身に付けたスキルを活かして、転職あるいは独立するのか? それとも本業に差し障りのない範囲で副業を始め、定年後はそちらにシフトするのか? 

インターネットが発達した今の社会では、思わぬものが仕事に変わる可能性があります。趣味で始めたものが仕事になり、2周目の収入源になったりすることだってあるでしょう。

そして50歳になったら具体的に準備を始めるのが理想です。その準備がないまま配置転換やリストラなど急な組織内の環境が変化すると、自分のモチベーションとアイデンティティーが保てなくなる。「アイデンティティー・クライシス」という、歓迎すべからざる客がやってきます。

「自分の存在を認めてほしい」

実は地位や肩書はもちろんですが、お金にしても評判や名声にしても、あるいは家族との関係にしても、その背後に共通する欲求が「承認欲求」です。人間は社会的な動物ですから周囲の評価や評判、名声や名誉を求めます。

会社の中で、能力があり必要な人材だと思われたい。お金を持っていて裕福に暮らしていると周囲から思われたい。家族の中でかけがえのない存在であり愛される存在でいたい……。

結局は誰かから自分の存在を認めてほしい、重要で大切な存在だと思われたいという気持ちが、これらのモチベーションの根源にあるのです。

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