中高生の1割が「自傷経験有」という日本の実情 大人には何ができるのか
中高生の自傷行為はどうして起こるのか
本日は「自傷行為」について、お話したいと思います。自傷行為の一例として、自らの手首を刃物で切る「リストカット」がありますが、なぜそんなことをするのか、理解できないという方もいらっしゃると思います。
そこで、私たちは自傷行為をどう理解し、どう援助すればよいのか、考えていきたいと思います。
はじめに、私たちが行なった調査をご紹介します。中高生を対象に、自傷行為をしたことがあるか否かを聞きました。すると、「中高生のおよそ1割が自傷行為の経験がある」ということがわかりました。しかも、地域差はほとんど見られませんでした。
つまり、日本のどの地域でも、中高生の10人に1人が自傷行為を経験しているということになります。
この話をすると、「ささいな好奇心からふざけただけの人もいるでしょ」「誰かのマネをしただけかもしれないよ」といった批判を受けることがあります。
たしかに、そうした可能性もあり得ますので、もう少し掘り下げてみます。
さきほどの1割の生徒に自傷行為の回数をたずねたところ、そのうちの6割が「10回以上ある」と答えました。全校生徒500人の学校があったならば、自傷行為の経験者が50人いて、そのうちの30人は10回以上の自傷行為を経験しているという計算になります。