中高生の1割が「自傷経験有」という日本の実情

大人には何ができるのか

そのことを理解したうえで、どうしたらいいかを考える必要があります。

関係性の構築を

そろそろ本日のまとめに入ります。中高生の1割に自傷行為の経験があるという話をしました。彼らの多くがどのような問題を抱えているのか、その特徴をおさえておく必要があります。

たとえば、自分の体型に不満を持っている場合、摂食障害の傾向があるかもしれません。そのほかにも、飲酒、喫煙、市販薬の過剰服用など多くの問題を抱えています。

いわば、生き方全体で「自分を大事にできない子どもたち」なんです。

ところが、彼らの存在は周囲の大人には「困った子」と映ることが多いのです。しかし、これまでの話を聞いていただいたみなさんであれば、「困った子」ではなく「困っている子」であり、支援が早急に必要であるということがおわかりいただけていると思います。

自傷行為を頭ごなしに否定せず、即座にやめさせようとしない。「自傷行為に今は支えられている部分もあるけれど、悪い面もあるよね」ということを、子どもと支援者とでおたがいに話し合える関係性を築くこと。そのなかで、子どものサポーターを増やしていくこと。

それが自傷行為の援助において大事なことであり、結果として、彼らの将来の自殺リスクを下げることにつながっていくのだと思います。

そして何より、忘れてはいけないことがあります。それはさまざまな自傷行為のなかで、一番の自傷行為は何か。それは「誰にも助けを求めないこと」です。

そう考えれば、自傷行為を通じてSOSを出してきてくれた子どもに対し、私たち大人がすべきことは、彼らのこれまでをねぎらうことです。

そして、「目に見える傷の背後には、目に見えない傷がある」ということを心に留めておくこと。そこをはじまりとし、次もその次も来てもらうためにはどうしたらいいのかを考えていく必要があります。その際、支援者がひとりで対応しないような体制を整備することも重要です。

このように、家庭や学校や地域のなかで複合的に考え、子どもたちを支えていくという取り組みが大事だと思います。

(抄録/「登校拒否を考える会・佐倉」30周年記念講演会より)

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