斎藤工が「芸人・永野」に尊敬の念を抱く理由 他の人ができないことをやるのが永野の魅力

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――永野さんから見て、斎藤さんの第一印象はいかがでしたか?

永野:『日10☆演芸パレード』に出たときが第一印象だとすると、正直テレビにも慣れていなかったのでそんなことを考えている余裕はなかったです。でも、次に映画で呼んでもらったときに「この人、普通に話せるじゃん」って思いました。

なんて言うのかな……自分がどういう理由でそこに呼ばれたのかわからないじゃないですか。「(軽薄そうに)ウケる~」みたいな感じの可能性もあるわけじゃないですか。でも、僕が『ダークナイト』のジョーカーのTシャツを着て行って「(役作りで)歯抜きましょうか?」って言ったら、そこから普通に会話が盛り上がったんです。その後、ラジオに呼ばれたときもニコニコ楽しく話ができました。

斎藤工は「普通の俳優」ではない

――永野さんから見て、斎藤さんはほかの俳優さんとは違いますか?

永野:違いますね。僕、いま腕を怪我しているんですよ。一昨日サウナに入ったら、ラッパーみたいな若い人がわが物顔でそこにいて、なんかイライラしちゃったんですよね。それで、僕がサウナから出ようとしたら、スカーンと滑って転んじゃって。ラッパーの男に「大丈夫?」って心配されちゃったんです。そいつも意外といいやつで。

この話をすると、普通の人だったら「怪我は大丈夫ですか?」とか「大事に至らなくてよかったですね」とか言うじゃないですか。妙に前向きなことしか言ってこないから、がっかりしちゃうんです。

――それは普通の反応じゃないですか。

永野:まあ、普通なんですけど。でも、工くんはラッパーと僕の間の関係性とかを考えて、そこに至った僕の悲しみを想像してくれるんです。それを話せるというのは僕の中では結構大事ですね。

1981年生まれ、東京都出身。2001年に俳優デビュー。今年は日仏シンガポール合作『家族のレシピ』(主演)、日露合作『ソローキンの見た桜』、『麻雀放浪記2020』(主演)、『MANRIKI』(企画、プロデュース、主演)(19)など。『ヲタクに恋は難しい』、『糸』(20)、『シン・ウルトラマン』(主演・21)など話題作の公開も控えている。齊藤工名義でFILM MAKER としても活躍し、初長編監督作『blank13』(18)では国内外の映画祭で8 冠を獲得(撮影:大澤誠)

――それを聞いて斎藤さん自身はどう思われますか?

斎藤:確かに、永野さんのネタは異次元なものでもあるんですけど、自分の物語でもあるというか。不思議な気持ちになるんです。突拍子もない世界をただ傍観しているだけじゃなくて、そこに自分が見透かされていて、ドキッとしちゃうんです。

「なんで僕の心がわかるの?」と思うことが結構あって。だから、たぶん僕の中に永野さんの成分があるんです。みんなあると思うんですけど、その度合いが強めなんです。

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