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サントリーが「ラグランジュ」を再生できた理由 「神の雫」亜樹直×椎名敬一「極上ワイン鼎談」

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  • 鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト
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椎名 そのとおりです。それを1級シャトーが危機に感じているのが現状です。昔は1級と2級の違いは非常に大きかったのですが、今は温暖化や機械化で差が縮まってきたので、シャトー・マルゴーやシャトー・ラトゥールといった1級シャトーはサードラベルを入れて、ファーストラベルの生産量はかつての3分の1程度まで減らしています。

そうすることで、他のシャトーが機械化で追い上げてきている部分を、テロワールの個性をより明確に示すことによって、もう一段差別化しようとしているのです。その結果、ボルドーワイン全体のレベルが、非常に底上げされました。すごい時代になったと思います。

周囲が評価してこそ、本物のブランド

ゆう子 2009年に、シャトー・ラフィット・ロートシルトにお邪魔した時、どうしても欲しくなって1本15万円で買いました。その時はボルドーワインが最も高騰した時で、現在は価格が落ち着いて、市場価格がだいぶお手頃になりました。市場価格が下がっても、ワインの製造コストはほぼ変わらないはずですから、利益幅が非常に大きくブレますよね。その点、ビジネス的にやりにくくはありませんか?

椎名 下がった時でも黒字が出るくらいの利益率はありますから、逆に大きく上昇した時には、物凄い利益率になります。このように大きく儲かった時、多くのシャトーは、より良いワインを造るために生産設備に大きな投資を行います。これがボルドーグランクリュのビジネスモデルなのです。

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 最後に、シャトー ラグランジュのブランド戦略をどう考えていらっしゃいますか。

椎名 プロフェッショナルな人々の間では、品質に最も真摯に向き合うシャトーとして認知されていますが、消費者にいかに伝えていくかが今後の鍵だと思います。日本やサントリーを表に出さないこと、そして現地の風習をリスペクトすることという2点は、今まで通り守っていきたいと思います。

これから時間をかけて、現地の人たちから「サントリーが入ったお陰で、ラグランジュは良くなったね」と言われるようになったら、日本やサントリーの存在を少しずつ出していけば良いかなとは考えています。

ただ、それでも一歩引いたスタンスは大事にしたいですね。自分でアピールするのではなく、周りの人たちから言ってもらえるのが、本物のブランドだと思うからです。焦らず、やるべきことを淡々とやっていく。それを積み重ねることによって、いつか誰かが語ってくれる日が必ず来ると信じています。

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