一風堂「3400円ラーメン」が成立したカラクリ 「高級ホテル」「外国人」「演出」で見た新境地

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1杯3400円の価値に匹敵するためのラーメンとはどんなメニューか。昨年秋から一風堂とザ・ペニンシュラ東京は共同で企画・商品開発を始め、試行錯誤の末、決まったのは「マイラーメン」だった。

一風堂のスープと麺を生かしつつ、木箱に入った12種類のオリジナルトッピングを自由に組み合わせながら楽しんでもらうスタイルだ。定番の明太子、高菜、ゴマ、キクラゲなどに加え、ホテル内の中国料理レストラン「ヘイフンテラス」特製のBBQポークやXO醤和えのザーサイなどもラインナップされている。まさにここでしか味わえない一風堂のスペシャルラーメンである。

麺を伸ばさない工夫

提供の仕方も独特だ。麺をキッチンでゆで、ポットに入れたスープとトッピングの木箱とともに客室に届け、スタッフが客室内のお客さんの目の前で、丼に入った麺の上に熱々のスープを注ぎ、ネギを添えて仕上げる。

ここで問題になったのが麺だった。豚骨ラーメンの細麺は通常はゆで時間が1分程度と短く、客室に運ぶ間に伸びてしまう。一風堂はこれを解決するために、一度茹でた麺を水で締め、大豆多糖類の溶液にくぐらせることで、麺を伸びにくく、ダマになりにくくした。

目の前で仕上がるラーメンに宿泊客も満足だ(写真:ザ・ペニンシュラ東京)

客室に届いてから目の前でラーメンを仕上げてくれるので、日本のおもてなし精神を感じることができ、海外のお客さんにも評判だ。替玉も用意しているという。

12種類のトッピングを全部入れて食べるお客さんもいるという。私も試してみたが、意外とスープの味が壊れないことに驚いた。これはスープが強い豚骨ラーメンでないと成り立たないサービスかもしれない。

ラーメンは庶民の食べ物として広がってきたが、高級ホテルという非日常の場所で、そこに宿泊できる外国人観光客をターゲットとして、特別に用意されたメニューや提供の仕方をはじめとする演出を工夫すれば、1杯1000円の壁は軽く超えられた。こういったコラボをきっかけにしてラーメンの新たな価値を見いだせたことは、業界としてもちょっとした発見かもしれない。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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