一風堂「3400円ラーメン」が成立したカラクリ 「高級ホテル」「外国人」「演出」で見た新境地

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ザ・ペニンシュラ東京が今回のコラボ先に一風堂を選んだのはなぜか。1杯3400円の価値はどこにあるというのか。

ザ・ペニンシュラ東京はザ・ペニンシュラホテルズの8番目のホテルとして2007年に開業し、“その土地の文化を取り入れる”というコンセプトをもとに、日本に根ざしたホテルとして運営してきた。特徴は宿泊客の7~8割が外国人だということ。一般観光客からVIPまで多くが訪れている。

開業以来、宿泊客からのコンシェルジュに寄せられる問い合わせで非常に多かったのが「近くにあるおいしいラーメン屋を教えてほしい」という質問だったという。ザ・ペニンシュラ東京は、海外顧客からも日本の代表食として愛されるラーメンをホテル内でも提供したいと昨年より準備を進めてきた。

海外では豚骨スープが人気

コラボ先は迷わず一風堂を選んだ。東京といえば醤油ラーメンというチョイスにもなりそうだが、海外で圧倒的に支持されているのは豚骨ラーメンである。

一風堂が2008年にニューヨークに進出し、流通を変え、ラーメン店が海外に比較的進出しやすい土壌ができた。海外の豚骨ラーメンブームはそこからスタートし、ヨーロッパでも豚骨がブームになっている。

スープは濁らせないのが基本であるヨーロッパの常識を覆したのが豚骨ラーメンだ。見た目に敏感なヨーロッパ人には、油が表面に浮かずヘルシーに見えるので人気なのだという。実際の油分量やカロリーについてはそれほど語られていないようだ。

ザ・ペニンシュラ東京のルームサービスの様子(筆者撮影)

一風堂は現在12カ国100店舗以上の海外店舗を展開しており、実績は十分。ザ・ペニンシュラ東京としてもラーメンのトップブランドとして一風堂にオファーをした形だ。

一風堂は今までにもANAの国際線ファーストクラス、欧米線ビジネスクラスでも豚骨ラーメンを提供しており、コラボには積極的だった。イメージ戦略を考えても今回のザ・ペニンシュラ東京は最高のコラボ先であったといえる。

とはいえ、一風堂が東京都内で提供しているラーメンの価格は1杯750~1090円(税抜き)だ。有名ガイド誌で毎年5つ星を獲得しているザ・ペニンシュラ東京で提供するラーメンを、一風堂が単純に店舗で提供しているメニューを横展開するワケにはいかない。

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