旧共産圏の撮影に圧倒的な情熱注ぐ彼女の稼業 会社で働きながら自腹で海外に通い詰める

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16階建てのマンションの上から見た、4号炉にかぶせるために建造中の新しいシェルター(撮影:星野 藍)

「チェルノブイリは除染しまくっているので、線量はあまり高くありません。福島の原発周辺より線量が低い場所が多いです。

ただ、事故当時作業をしていた消防士の服を遺棄している病院があって、そこだけ1シーベルト(1000マイクロシーベルト)を超えていました」

星野さんが、プリピャチという街の16階建てのマンションの上に登ると、4号炉の旧石棺のための新しいシェルターが建造されている途中だった。

チェルノブイリが終わっていないのに福島はなおさら…

4号炉をスッポリかぶせる形の「新閉じ込め構造物」は1992年に国際コンペティションを開催して決まった。そして概念設計が完了したのが2004年。そしてシェルターが完成したのが2016年だ。なんと立案から完成までに、実に24年もの年月がかかった。

福島第一原子力発電所(撮影:星野 藍)

「その光景はとても胸に刺さりました。チェルノブイリ原子力発電所事故からすでに30年近く経っていたのに、まだまだ全然事故は終わっていませんでした。

『チェルノブイリがまだ終わっていないのに、福島が終わるわけがないんだ』

ということを心から実感しました。

日本に帰国した後、2013年12月に出版社の編集者と福島へ撮影旅行に行きました。当時はまだ空間線量が高く10マイクロシーベルト超えは当たり前、場所によっては30マイクロシーベルトを超える所もありました。おそらく気のせいなのですが、とても身体が重く感じました」

次ページ以前にも増して旧共産圏の国々に興味を持つように
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