旧共産圏の撮影に圧倒的な情熱注ぐ彼女の稼業 会社で働きながら自腹で海外に通い詰める

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そもそも学生時代から、ソビエト連邦時代の独特なデザインは好きだった。ウクライナのチェルノブイリに行ったことから、以前にも増して旧共産圏の国々に興味を持つようになった。

「ベラルーシ、リトアニア、セルビア、アルバニア、キプロス、コソボ……などなど40カ国以上は行っちゃってますね。

静謐さを感じさせる建物内部(撮影:星野 藍)

よく『旧共産圏の魅力は?』って聞かれることがあるんですけど、答えるの難しいんですよね。いわば本能で回っているので(笑)。うーん、そうですね、西側諸国に比べて東側諸国って、どこか憂いを帯びているんですよ。

それは歴史上、戦争でたくさんの人が亡くなっているからかもしれません。負の歴史を抱えながら、なんとか復興して今に至る……という空気感が好きなんです。逆に戦争に勝利してきた国のマッチョイズムは苦手です」

観光地とは違い治安もあまりよくない

しかし旧共産圏は、わかりやすい観光地とは違い苦労することも多い。

例えば国によって、言葉も通貨も違う。国に入るたびに両替しないとダメだったりする。

「ただし『ユーロでいい?』って聞くと、オーケーな国も多いです。自国通貨より、ユーロのほうが安定しているからいいっていう人もいます。ウクライナは『現地通貨よりドルがいい』って人がとても多いです。ただ、おつりは現地通貨でくるので、困っちゃいますね」

そして、残念ながら治安もあまりよくない国が多い。

「たまに変質者には会いますね。気配を感じて振り向いたら、股間を出しているおじさんがいたりしました」

ある日、乗り合いバスに乗ってると同席した若者に、

「ご飯に行かない?」

と誘われた。まあご飯くらいなら、とついて行った。そこでタバコ吸う?と聞かれた。

「日本ではまったく吸わないんですけど、海外では誘われたら吸うようにしてるんです」

オーケーすると、若者は葉っぱが詰められた水パイプを取り出してきた。星野さんはいぶかしみながらも1口吸ってみると、今まで味わったことのない独特な風味がした。

「それから2日間、一睡もできなくなってしまいました。このまま永遠に眠れなくなったらどうしよう?ってすごい怖かったですね。まあ、元に戻れたので『いい思い出だった』ってことにしてますけど。結局、何を吸わされたのか、いまだにわかりません」

どことなく愁いを帯びた雰囲気の庭園風景(撮影:星野 藍)
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