旧共産圏の撮影に圧倒的な情熱注ぐ彼女の稼業

会社で働きながら自腹で海外に通い詰める

そして2011年、東日本大震災が発生した。

星野さんは、会社で働いているときに激しい揺れに遭遇した。福島では、地震の被害と津波の被害を受け、そして原発事故が起きた。

「もう家族は福島に住んでいられなくなるかもしれないと思い、家族のためにアパートを探しました。幸い最悪の事態には見舞われませんでしたが、身近で行方不明になったり、亡くなったりした人はいました」

初めてのバックパッカーで、初のインド旅行先にて(撮影:星野 藍)

沈んだ気持ちを払拭するために、初めてインドへの撮影旅行に行くことにした。バックパッカー(低予算海外個人旅行)での旅も初めてだった。

北インドのデリーから、北西のジャイサルメールへ、パキスタンの国境から5kmしか距離がない砂漠を旅した。

「最初なので、荷物をたくさん持っていっちゃったんです。いつもの一眼レフに4~5本のレンズ、ブロニカのカメラに2本のレンズ、それにトイカメラに三脚まで持っていきました。もう重たい、重たい。途中で何度ブロニカのカメラ捨てようかな? と思ったことか。

それからは、旅行の荷物は年々軽くなっていってますね。インドはトラブルは多いし、人はうざったいけど、でもすごい好きで楽しかったです」

昔から行きたかったチェルノブイリ

星野さんが昔から行きたかった場所がある。ウクライナのチェルノブイリである。1986年に原子力発電所事故が起きた、あのチェルノブイリである。

それまで廃墟好きの星野さんにとって、チェルノブイリは「廃墟の王様」だった。いつかは攻略したい、ラスボスのような存在だった。

ただ、故郷である福島で原発事故が起きてしまい、はしゃいで訪れるような感じではなくなってしまった。

しばらくは「廃墟好きとは何か?」「自分にとって、廃墟とは何か?」と悩んだ。

チェルノブイリ原子力発電所4号炉の周辺施設(撮影:星野 藍)

「しかし悩んでいても答えが出るわけでなし、2013年にチェルノブイリに対するモヤモヤと、福島に対するモヤモヤを払拭するために、実際にチェルノブイリに行くことにしました」

ウクライナの空港に到着後、あらかじめ予約しておいたガイドに迎えに来てもらい、事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所4号炉周りをはじめ、さまざまな場所を撮影した。

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