「薬酒バー」を三軒茶屋に開店した男の執念

妻の病気を治すため「中医学」にたどり着いた

それでも、桑江氏の友人など最初の客から、少しずつ、口コミで客が来るようになっていったという。何らかの難しい病気を抱えていて、わらにもすがる思いで訪れた客も少なからずいるそうだ。2店舗目、3店舗目を名古屋と出店を続け、27店舗まで拡大。同じ三軒茶屋では3店舗を出店している。

「三軒の茶屋から始まったという土地のルーツにちなんだわけではないのですが、3店舗の薬酒Barが三軒茶屋にあることになります(笑)」(桑江氏)

加盟店は、フランチャイズというよりはボランタリーに近い契約で増やしているという。やはり薬酒の効能や「薬酒を広めたい」という桑江氏の理想に感じ入るところがあり、開業する人が多いそうだ。開業する場合は一定の初期費用+月々ののれん代が必要となる。薬酒についての基礎知識も、既存店舗での実務研修を積んで身に付ける。

薬酒Barの経営におけるメリットとは

現在、桑江氏はバーテンダーとして店に立つことはほぼしていない。2号店や3号店も事業パートナーに譲り、自身は講演活動や加盟店希望者への研修などを担当している。

「事業としてはかつかつ」と自身では表現するものの、それぞれの薬酒Barの経営は順調といってもいいようだ。

新規参入の7〜8割が3年以内に潰れるという厳しい飲食の業界にあって、薬酒Bar加盟店27のうち5店舗は10年超えとなっている。

店舗の場所や広さによって異なるものの、10坪前後の店で日に30〜40人の客が訪れ、月に300万〜500万円の売上げがある。大きな店では1000万〜2000万円を売り上げるそうだ。また店舗形態やメニューもオーナーの個性を反映してさまざま。おつまみだけでなくしっかりした食事を提供するほか、ランチ営業をしているところもあるそうだ。

なかにはウェディング事業を行い、乾杯を薬酒で行うという店も。人気店のポイントとなるのはやはり、客対応とのことだ。

薬酒Barの経営におけるメリットの1つとして、「低原価・高単価」が挙げられる。薬酒のベースとなるのは、主にホワイトリキュール。高いお酒を使うと、クセが強すぎてかえって薬草と合わないのだそうだ。薬草の原価はもちろんピンからキリまであるが、例えばショウガや、みかんの皮からつくられる陳皮のように、身近な食べ物も立派な薬酒になる。

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