”政治”を志す若者に就職活動のアドバイスをするとしたら 《若手記者・スタンフォード留学記27》

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単刀直入に言うと、スタートとしては「キャリア官僚か、商社か、NHKあたり」がいいのではないでしょうか。

以下、長くなりますが、業界ごとの分析です。

1.キャリア官僚

私は基本的に役人嫌いで(笑)、マスコミが叩いているように、一部の官僚が今、日本のガンとなっていることは確かだと思っています。でも、問題の本質は、「官僚のモラルが下がっている云々」ではなく、1940年以来の官僚主導体制というシステム全体にガタが来ている点にあります。

 

そして、若手は以前より質が落ちているとはいえ、愛国心があって、知能レベルも高い人がまだ多い。今年は、民主党が政権をとって、公務員改革が実施される可能性が高いですので、今後10年くらいで組織の風通しは今よりは良くなるのではないでしょうか。

官庁の選択と言う点では、もし、「福祉に興味がある」「農政のプロになりたい」といった明確な目標があるなら、その所管官庁に就職するのは素晴らしいことです。が、そうでないなら、財務省か経済産業省か総務省(旧自治省)がいいでしょう。やはり、この3省が人材を多く輩出していますし、国政、知事(道州制が実現すれば、州知事)への道も近くなる。今、経産省か旧自治省出身の知事は少なくありません。

外務省も、人材の質ではトップクラスでしょうが、一般的に、外務官僚としてキャリアを全うするのが主流で、政治家を目指すうえではあまりメリットがありません。今の有名な政治家で、外務省出身者は、加藤紘一氏ぐらいです。

<キャリア官僚のメリット>

・現場体験 →政策の勉強を生でできる(とくに、法律の書き方、根回しの仕方など)ことに加え、政治家がどういう生物かをつぶさに眺められる。水面下で起きている、自民党体制の崩壊を内部で見るのは、極めて貴重な経験になるでしょう。

・人脈 →官僚、政治家に人脈ができる。将来、国政を目指すにせよ、地方自治を目指すにせよ、きっと活きる。竹中平蔵氏も「将来、政策に携わる仕事したければ、まず若いうちに政府の中で一度働いてみたほうがいい」と述べていますが、官僚の生態や論理を知らずして、国政をリードし、改革を進めることは至難でしょう。

・昇進が早い →官庁は30代半ばぐらいまでは年功序列なので、大体30才くらいで課長補佐になれます。課長補佐は政策立案の現場のリーダーなので、貴重な経験を積める。多くの民間企業よりも、官庁の方が、若くして大きな仕事をできるチャンスが大きい。

・留学 →省によりますが、多くの人間が2年間留学できる。アメリカの大学院(公共政策分野)で学んでいる日本人学生の大半は官庁からの派遣です。

<キャリア官僚のデメリット>

・長時間労働 →無駄に残業を強いられる。とくに、国会期間中は毎日深夜3時帰りが普通になる。体に悪い(笑)。

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