(その1) 強い組織創りのヒントは、「宗教」にあり
(その2) ヤフーLINEに学ぶ、変化に強い組織創り
漢字は英語よりも強い
岡島:ヤフーは、宮坂さんと川邊さんの新体制の中で、いろいろな施策を行っています。象徴的だと思うのが、キーワードをいっぱい作っていることです。川邊さん、その点を説明してもらっていいですか。
川邉:日本は「ことだま」文化だと思うんですよ。口にした言葉が(現実に)そうなってしまうというのを、信仰している文化じゃないですか。だから言葉は重要だと思っているのです。
もうひとつは、私自身、小泉政権時代に、「みんなの政治」というサービスを「もうちょっと多様に価値観をもって政治を見ないとダメだな」と思って反小泉的に作りました。一方で私は小泉さんが大好きで、あのワンフレーズの手法というのは効くだろうなと。1億2000万人を抵抗勢力と言う言葉でひとくくりにできるんだから、ワンフレーズ大事だよねと。
岡島:しかも5000人も社員がいますから、ますます大事ですよね。
川邊:特に英語よりも漢字かなと思っているんですよね。漢字は表意文字にして表音文字なので、言葉として強い。それで、今われわれがいちばんにやるべきことは何かと考えたときに、このめちゃくちゃ遅くなってしまったスピードをとにかく上げなければいけない。「どういう感じでやりますか、宮坂さん」と聞いて、何度もいろいろなところで話したんです。
それでグリーの経営が速いという話をしたら、宮坂さんが「それって『爆速』だよな」と。「なんか『爆速』って言葉いいですね。今われわれにいちばん足りないのは爆速だから、今はできないけど、口にしていればいつかそうなるだろう」というふうに思って、まったく身の丈に合わないけど、爆速という言葉を選んだわけです。
岡島:爆速はインパクトありました。Tシャツを作ったりしたり、祭り上手ですし、「課題解決エンジン」とか、いろいろなキーワードをしっかり作っている感じですよね。
川邊:乱発はしないようにして、記憶に残る言葉をいくつか選んで、あとはそれを徹底的に刷り込む。何回も言っても、言うだけではたぶん通じないから、Tシャツにもするし行動原理にもするし、徹底的に発明した言葉は最後まで使うと。
岡島:しかも手触り感のあるヤフーらしい言葉にするという。
川邊:そうですね。もうちょっとヤフーというのは本来ポップだと思うのですけれど。ややわれわれになってちょっと……。
岡島:女子受けは悪いと聞きました。
川邊:われわれの代になって表現はマッチョになったねと反省しているのですが。