その1:日本のゲームは世界で勝てるのか?
モバイルとコンソールは、波の作り方が違う
辻本: 2013年11月に、プレイステーション4とXbox Oneが発売されて、マルチグラス、マルチデバイスだと言われていますが、ゲーム産業というのは、一番最後にインターネットに適合できた産業なんですよね。これまでのゲームは、ハードの構造上スタンドアローンであって、ゲームの開発は完パケ(完全パッケージメディア)で売って終わる構造でした。それが、やっとこの世代になって、常設でユーザーさんとダイレクトにつながるようになりました。これはチャンスだろうと思います。
プレイステーション4の実例で言うと、ゲームは、ライブでユーザーさんに観てもらいながら、皆さんに楽しんでもらうサービスとして提供されています。これは今までになかったことですね。こういうことがどんどんできるようになってきた。
DeNA、グリーというのは、もともとインターネット系で、ガラケーから、スマートデバイスに行って、パッケージではなくインターネットを介したゲームのサービスを展開しています。それが今の世代で融合していくとき、どんな興味を抱いて、どんなプラットフォームの展開を考えられているかについて非常に興味があります。僕やカプコンとしては、この分野にはチャンスがあるので、皆さんとどんどん協力しながら、このビジネスを拡大していきたいと思っています。
小林:僕個人は、超コンソールゲーマーでしたが、実は全然違うエンターテインメントだと思っています。確かにオンラインに関するいくつかのノウハウや知見で、活かせるものがたくさんあると思いますが、心構えとして、エンタメとしてスクリーンに向かうときの感覚とは違います。
それは究極的に、映画とテレビが一緒にならなかったのと似ていると思います。テレビが出てきた1950年頃に、「テレビが映画を食ってしまうのではないか」という議論がされましたが、結局、「天気予報は映画館で見ない」とか「映画は映画館で見たほうがいい」という話になりました。
気構えが違うときに、作るコンテンツは違うと思っています。たとえば2時間ドラマと2時間映画は同じかというと、「これは全然違う」とテレビ局の人に言われたことがあります。いつどこから見るかわからないTVドラマと、絶対2時間最初から最後まで見る映画は波の作り方が違う。だから同じ脚本家は、TVと映画であまりうまく機能しないと聞いて、なるほどと思ったんです。
ソーシャルゲームと言っても、モバイルのゲームとコンソールのゲームでは、その時間の波の作り方が違うと思っています。だから、だんだん違うエンタメになっていくのではないかという感覚を僕は持っています。