日米同盟の本質は他国と比べないとわからない たこつぼにいる専門家の情報独占が問題だ

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鶴岡:1990年代から一気に増えました。また、大学院レベルでは東大、京大をはじめ、一橋や北大にも公共政策大学院が設置されています。これら公共政策系の大学院に関しては、官僚へのキャリアパスとしてもすっかり定着した印象です。

政策は組織ではなく人で動く

船橋:私は、大学は政策研究をもっと真剣に行うべきだと考えています。霞が関以外の政策起業力を強化しなければならないというとき、大学の役割は重要だと考えています。ただその点は、後ほど詳しくお聞きすることにして、まず、これまでのお仕事について伺います。

鶴岡 路人(つるおか みちと)/慶應義塾大学総合政策学部准教授。1975年東京生まれ。1998年慶應義塾大学法学部卒業後、同大学大学院法学研究科、米ジョージタウン大学大学院を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、防衛省防衛研究所主任研究官を歴任。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員(ASEAN担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを務める。現在は東京財団政策研究所主任研究員を兼務。専門の欧州政治・国際安全保障を土台に、「リアル」な安全保障論、政策研究を追求(撮影:今井康一)

鶴岡さんは在ベルギーの日本大使館に専門調査員として、NATOと日本の防衛外交を手掛けられました。また、防衛研究所時代には防衛省防衛政策局に出向してASEANの国防大臣会合でも大きな仕事をされています。NATOやASEANとの防衛外交は、今後の日本にとって戦略的に非常に重要になってくると私は考えています。

そこで伺いたいのですが、防衛外交の現場で、NATOやASEANの防衛担当者と一緒に仕事をする中で、どのようなことを学んでこられましたか。また、それが国際安全保障の専門家として、そして政策起業家としての今の鶴岡さんにとって、どんな財産になっているのでしょうか。

鶴岡:私はもともとはEU研究をしていまして、米欧関係に関心を持ちつつ、英国に留学していた際は日欧関係についての博士論文に取り組んでいました。そうしたなかで、偶然に機会があり、ブリュッセルの大使館で専門調査員をすることになりました。NATOには以前から関心があったものの、日々の動きを追っていたわけではなく、現場でNATOに日々向き合うのは新鮮なことでした。

当時はまだ日本とNATOとの関係はあまりなく、前任者からは「暇だよ」と聞いていたのですが、着任後、日本とNATOの関係が急に動き始め、大変忙しくなりました。おかげで博士論文の完成はすっかり遅れてしまいましたが、かわりに貴重な経験をしました。

船橋:2005年ごろですか。

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