メダル23個「怪物」フェルプスの意外すぎる今

世界記録を破られても幸せな理由

「水の怪物」と呼ばれたマイケル・フェルプスは現在、妻のニコール、2人の息子と暮らしている(写真:Caitlin O'Hara/The New York Times)

電話の向こう側から聞こえる悲しげな声は、「大事なモノ」を失って明らかに取り乱していた。世界水泳選手権の行われていた韓国・光州はすでに夜遅かったが、マイケル・フェルプスと妊娠中の妻ニコール、2人の息子ブーマー(3歳)とベケット(1歳)が休暇をとっていた地球の反対側は朝食の時間だった。

先月100メートルのバタフライ世界記録をアメリカ人ケーレブ・ドレッセルに破られたことを聞くために、私は韓国からフェルプスに電話をしたのだ。さらにハンガリー出身の19歳のクリストフ・ミラークは、大会の早い段階で200メートルのバタフライでフェルプスの世界記録を打ち破っていた。

世界記録を破られても悲嘆していない

フェルプスはかつてバタフライの達人だった。彼は現在、2001年以来初めてバタフライでの世界記録を保持していない。

しかし、34歳のフェルプスは悲嘆していなかった。彼はドレッセルのスムーズでスピーディーな泳ぎについて畏敬を持って語ったが、ブーマーがぬいぐるみのベビーモンキーが見当たらないと大声を上げていたので、彼も電話で声を張り上げる必要があった。

数々の世界記録がフェルプスの自意識に作用していたことはそれほど前のことではなかったので、記録を失っても冷静さを保っていた電話口のフェルプスに興味を持った。1週間後、フェルプスはアリゾナ州のパラダイスバレーカントリークラブで世界記録が失われていくことと、引退後の生活について語った。

――200メートルバタフライで最初のオリンピックチームに入り、世界記録を樹立、その後18年間、200メートルバタフライの世界記録を保持していた。両方のバタフライの記録を失ったとき、2つの「家宝」を失ったような気がしたか。

次ページ100メートルバタフライの記録が破られた後、コーチに連絡
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 就職四季報プラスワン
  • 内田衛の日々是投資
  • 「合法薬物依存」の深い闇
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
省電力・広域通信“0G”の衝撃<br>IoT化の隠れた主役LPWA

低速ながら電池で数年動くほどの省電力で、基地局から10km以上もの広域通信が可能。 LPWAという通信方式は超高速の5Gとは対極で、関係者に「0G(ゼロジー)」と呼ばれています。検針やモニタリングなど静かな普及の現場を取材しました。