メダル23個「怪物」フェルプスの意外すぎる今 世界記録を破られても幸せな理由
――2004年オリンピックの400メートル個人メドレーでの初のオリンピック金メダルと、2016年リオデジャネイロの400メートルメドレーリレーでの23個目の金メダル。記憶に残っているのは。
疑いもなく、最後の金メダルがほかのどれよりも際立っている。それまでの長い旅と、そこにブーマーがいたという理由だけで。北京を外すのは難しいが、私にとってはやはり最後の金メダルが個人的に最も記憶に残るものだ。
どん底なくして2016年はなかった
――2014年にリハビリ施設に入る原因となった飲酒運転など問題がなかったら、フェルプスは2016年のオリンピックでとんでもない成績を上げることができた、と言う人もいる。
2014年のどん底なくして、2016年はなかっただろう。だから、そういう言葉には耳を傾けず、「さようなら、じゃあまた後で」と言って、相手にはしない。飲酒運転はいい経験ではなかったが、振り返ってみると、今日の私を作ったと言えるかもしれない。
今日、ブーマーが文字どおり刻々と成長しているのを見ている。ベケットに関しても同じ。彼は現在完全な「オウム」状態で、私たちの言うことすべてを繰り返している。10年前、いや、8年前を振り返ってみると、今日の私にはまったく考えられない。小さな2人の人間が、この世界で成長するのを楽しく見守ることができて、とても幸せだ。
――2016年に、パフォーマンス向上薬を使用している水泳選手が1人もいないオリンピック決勝戦に臨んだことはないかもしれない、と発言した。今年の世界選手権では中国の孫楊に対する抗議行動として表彰台に上がることを拒否した選手が出たこともある。こうしたことをめぐって競技自体のイメージが悪化することへの懸念は。
チャンピオンになるために必要なトレーニングや努力をする代わりに、近道のパフォーマンス向上薬の使用を選択する人がいることにどれほどいら立ちを感じるかは、これまでも明確にしてきた。
公に反対を表明する人たちの不満もよく理解できる。しかし、ほかの人が何をしているかに集中することにより、彼らは自分のコントロールできないものに、多くの時間とエネルギーを費やすことになる。この競技をクリーンにできるのは、国際水泳連盟だけだ。