あのタワレコが「顔ハメ」の聖地でもある理由 渋谷店を中心に顔ハメパネル展示にも注力

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……さすがさまざまな店舗で店長を歴任したベテランだ。白神店長は音楽マニアだけでなく顔ハメマニアの心境までよく理解していた。そして、こう続けた。

「品ぞろえではAmazonさんに勝てない。渋谷店は駅から遠くて他店に利便性でも勝てない。ではどうやってお客様に来てもらうかというところからの発想です」

なんと顔ハメパネルを積極的に利用するという方針は、競合に比べて不利な条件を克服するための売場作りの一環なのだという。

「渋谷店は8フロアあります。そういうお店はなかなかない。場がとても広いんです。そしてアーティストのファンが支えているジャンルは、複数で来店されるお客様が多いんですね。例えばK-POPのお客様は1人では来店しない。2、3人で来店したお客様がああでもないこうでもないと盛り上がれるような売場にしてある。

好きなアーティストが共通しているお友達と来て、そのアーティストの話をしたりとか……。顔ハメパネルなどの展示物が多いのは、来ていただいたお客様がゆったりと場を楽しんでいただけるようにしてあるんです」

タワーレコード渋谷店の圧倒的な強み、それは店舗の広さだ。そんな広さを生かして、お客様に「CDやDVDを買う」ということ以上の体験をしてもらわないと、ネット販売に対抗はできない。そんな時に非常に役に立つツールが顔ハメパネルなのだと白神店長はいう。

顔ハメパネルを通じて「体験に昇華する」

「好きなものを買うのが買い物なんですけど、買うだけではなく思い出が残る、体験型の買い物をしてほしい。顔ハメとか、来ていただいてハメて写真を撮ってもらってそれで完結する。CDを買うと同時に顔ハメなどをすることで『体験に昇華する』というのがあると思うんです」

「買い物を体験に昇華させる」ことで思い出が残る。そのことによって「タワーレコードに行く」ということが友人との大切なイベントとして意義深いものになる。そのための「楽しいアトラクション」の1つが顔ハメパネルなのだ。

では、この顔ハメパネルというアトラクションはどういった層に刺さっているのだろうか? 単純に予測すると、渋谷という土地柄から「若い女性」と「外国人」がターゲットになりそうなものだが、答えは「半分予想どおりで、半分意外」だった。

「顔ハメに反応するのは女性のお客様が多いです。男性はパッケージを嗜好品と捉えて、そのものに価値があると思われる方が多いと思いますが、女性の方って、さらに付加価値的を求められる方が多いですね」(白神店長)

「外国の方で、パネルに反応されている方はあまりいらっしゃいません。これは推測ですが、売っているものが珍しいというのがそもそもあります。こんなに大きなCD屋さんは外国にはないですし、アナログ(レコード)もあるしタワーレコードのアパレルもありますし……お店そのものと売っているものが付加価値を内包しているので、パネルはそこまで気にならないんだと思います」(同)

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