広島の限界集落が奇抜な「かかし」だらけの事情

攻めすぎた観光キャンペーンに夫婦が協力

右には「ひょっこりはん」に似た人物の絵が描かれている。左でハマっているのが筆者(いずれも筆者提供)

広島駅からまずはJRに乗って20分弱で五日市駅へ。そこから1日10数本の広電バスに乗り換えて1時間20分ほどかけて湯来温泉へ。さらに1日4本しかないコミュニティバスに乗り換えて10分、あるいはタクシーを探すなどしてようやくたどり着くところに「上多田集楽(かみただしゅうらく)」はある。

運が良ければ広島駅から片道2時間もあれば着くだろうか。運が悪ければ片道3時間程度は覚悟しなければならないかもしれない。しかも冬場はかなり積雪の可能性もあるので公共交通機関で行くには覚悟が必要だ。

そんなロケーションの限界集落に広島県観光課はあえて「顔ハメパネル」を設置した。いったいなぜ?と普通は思うだろう。それが「顔出しんさい!広島県」キャンペーンの実は「核」となるものだ。

広島県が昨年11月末から開始した観光キャンペーン

去年7月の豪雨災害により甚大な被害を受けた広島県。直接観光地に大きな影響はなかったが、客足は減少した。その風評被害からの脱却を目指すために広島県観光課が利用したのはなんと顔ハメパネル。「顔出しんさい!広島県」と銘打って県内各地に顔ハメパネルを設置し、「パネルから顔を出しつつ、広島各地に顔を出してほしい」と、去年11月30日に観光キャンペーンを開始した。

 前編記事『広島に豪華「顔出しパネル」が出現しまくる裏側』では豪華な漫画家やイラストレーターを起用し、ギリギリの面白さを追求していることや、有吉弘行さんを起用した「おしい!広島県」キャンペーン以来となる県観光課の「攻めるPR戦略」などについて紹介した。

コップのフチ子で有名な漫画家タナカカツキさんによる牡蠣のパネル(筆者提供)

そして後編の今回は、意表をつくパネルの設置場所についての戦略や、奇抜なアイデアの面白パネルについて、そして3月末に終了するキャンペーンに残された課題などについて紹介したい。

 冒頭の「上多田集楽」については後ほどゆっくり紹介するが、まずは前編でも紹介したこちらのパネルを見てもらいたい。

コップのフチ子で有名な漫画家タナカカツキさんによる牡蠣のパネルだが、設置されている場所はあえて「宇品(広島港)のかき小屋」だ。

次ページなぜ宇品にパネルを置くのか?
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