あのタワレコが「顔ハメ」の聖地でもある理由 渋谷店を中心に顔ハメパネル展示にも注力

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顔ハメパネルに反応がいいのは男性よりむしろ女性、というのは私もとても頷ける。なぜなら最近「顔ハメマニア」として話題になっているのは男性マニアより女性マニアが多いからだ。インスタを見てみてほしい。女性たちがバンバン顔ハメ写真をアップしているのがわかると思う。

しかし、外国人があまり顔ハメパネルに興味を示さないというのは意外だった。通常インバウンドに顔ハメパネルは有効だと考えられており、外国人観光客が多い浅草などの観光地には顔ハメパネルが大量に設置されているのだが、「お店自体があまりに外国人観光客にとって魅力的すぎて」顔ハメパネルなど眼中に入らないというのは、これはこれで面白い発見だ。

そして、タワーレコードは顔ハメパネルをさらに進化させてしまった。

クイーンのフレディ・マーキュリーになりきることができる(写真:筆者提供)

この写真は4月17日に発売となった『ボヘミアンラプソディ』のブルーレイ・ DVDの販売促進用のものだ。

もはやパネルではなく、リアルなピアノ風の立体オブジェに座ったり、マイクやサングラスなどの小物を使ったりすることで、顔ハメパネル以上に、ボヘミアンラプソディの「世界観に没入」できる展示物になっている。

この展示は白神店長によると、「派手な展示物で効果的だった。『全然クイーンに興味がない』っていうような方でもとりあえず座っている(笑)。あと、僕が見ていたら意外と若い女性の方も多かった」ということで、本来ボヘミアンラプソディに興味を示さないような層にも非常に効果的だったようだ。

タワレコはパネルを自前で製作できる強みも

こうしたパネルなど大掛かりなものも含めて、顔ハメパネルをはじめとする展示物にタワーレコードが強いのは、自社に「アートデパートメント」を抱えていて、自前でパネルなどを製作できてしまうことがあり、しかもメーカーとのコラボやメーカー持ち込みのパネルについても「圧倒的な売場面積の広さ」が強みとなって、オファーが他店より来やすいのだという。

クイーンの世代ではない若い女性にも反応は上々だったという(写真:筆者提供)

結果、自社製作したものも持ち込み・コラボのものもタワーレコードに集まってくるので、顔ハメパネルの「聖地」となったのだ。

実はアーティストの顔ハメパネルは集客効果こそ大きいが、作るには「アーティストの顔に穴を開けなければならない」という大きなハードルがある。

そのため、顔ハメパネルではなく単なる等身大パネルになってしまうことも多い。

われわれマニアからすれば、「なぜそこに穴を開けないんだ!」と悔しい思いで等身大パネルを見つめることも多いのだ。そんな厳しい状況の中でも、これからもタワーレコードにはぜひ、面白い顔ハメパネルを作り続けて、「聖地」として君臨し続けてもらいたいと切に願う。

鎮目 博道 テレビプロデューサー、顔ハメパネル愛好家、江戸川大学非常勤講師

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しずめ ひろみち / Hiromichi Shizume

1992年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教関連の取材を手がけた後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島取材やアメリカ同時多発テロなど海外取材を多く手がける。またAbemaTVの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルのメディアとしての可能性をライフワークとして研究する。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社・2月22日発売)

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