「働く時間減らせばOK」と考える経営者の大誤解

「生産性の向上」無視したままではジリ貧だ

今年4月から本格的に始まった「働き方改革」。定着したように見えますが、残念ながら本当に効果があるかは怪しいところです。日本の働き方改革が「機能不全」を起こしている理由とは?(写真:foly/PIXTA)

近年、官民問わず広く推進されてきた「働き方改革」は、もう完全に定着した感があります。最初はさまざまな異論や疑念などが発せられていましたが、日本人の適応能力の高さというか素直さというか、どんな会社でも「もう起こってしまったことは仕方がないので粛々と進めよう」という雰囲気になっています。

徐々に、メディアなどでも働き方改革については議論されなくなっています。ですが、当初「問題視されたこと」がとくに解決されたわけではありません。本稿では、今一度、働き方改革の意味と問題点について考えていきます。

本来の目的は「生産性の向上」

政府の言う働き方改革の目的は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、介護の増加などによって働く人の総数が減っているため、働くことを阻害するものを減らし、人々が働きやすくすることで生産性を向上させ、これまでの日本の生産力=経済力を維持・向上させようということでした。

確かに、日本は世界主要国の中でも生産性の低い国であるとよくいわれます。この「生産性」とは、一般的には、投入した資源(インプット)と、産出した成果(アウトプット)の比率を指します。

つまり、生産性とは、「労働による成果(≒利益、付加価値)」÷「労働投入量(≒労働時間、人件費)」という計算式で表せるもの。同じ労働時間、人件費で生み出す付加価値、利益がどれくらいになるかを示す指標です。

この計算式を考えれば、生産性を上げる方法は2つしかありません。分母(労働時間、人件費)を減らすか、分子(利益、付加価値)を増やすかです。どちらかができれば、生産性は向上します。

まず前者ですが、人件費を減らすと言っても基本給などの報酬水準を単純に減らせば、社員は納得いくはずがありません。すぐにモチベーションの低下につながるのがオチで、生産性向上に対してマイナスの効果が働きます。

次ページなぜ「労働時間」を減らそうとするのか
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 財新
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT