「ありがとう」と言える上司が得する科学的根拠 職場で「権威を振りかざす人」は出世できない

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世界各地の合計2万人の会社員を対象に私が実施した調査でも、「敬意ある態度で人に接する」ということが、リーダーが皆の忠誠心を勝ち得るうえで何より重要だとわかった。

同種の69の調査結果をまとめて分析した研究者によれば、今、望ましいとされるリーダー像は昔とは違ってきているという。今、望ましいとされるリーダーは、「気配り」「優しさ」「思いやり」など従来「女性的」とされてきた資質を持った人らしい。

知性ある人は他人に対して無礼に振る舞わない

もちろん、最も地位向上に役立つのは、仕事で成果を上げることである。ただ、礼節ある態度がその後押しになることも確かだ。

礼節ある態度とは例えば、人に感謝する、人の話をよく聞く、わからないことは謙虚に人に尋ねる、他人のよさを認める、成果を独り占めせずに分かち合う、笑顔を絶やさない、といったことを指す。こうした態度は業績の向上にも役立つ。

礼節ある態度は賢明さの表れだ。知性のある人は他人に対して無礼には振る舞わないだろう。礼節ある態度を保っていれば、あなたはよい人間になれるし、成功を収めることもできる。それ以上によいことはあるだろうか。

成功しているリーダーの中には態度が無礼な人もいるではないかという反論もあるだろう。そうした人たちは、無礼であるという不利な条件をはねのけて成功しているということだ。無礼でなければもっと楽に成功できたかもしれない。

いくつかの調査により、失敗するリーダーの多くには、無神経、人を不快にさせる、弱い者いじめをする、という共通の性質があるとわかっている。またその次くらいに多く見られるのが、よそよそしい、傲慢といった性質だ。

もちろん、たとえひどい性質の持ち主でも、権力があれば多くの人は従うだろう。しかし、日頃から無神経な、敬意のない態度で接していると、とくに重要な場面で従業員は助けになってくれないおそれがある。従業員は情報の共有を渋るかもしれないし、できるはずの努力を怠り、使えるはずの資源を使わない可能性がある。

しっぺ返しは意外に早く、しかもまったく油断しているときにやってくるかもしれない。また、そのしっぺ返しが意図的なのか無意識なのかは、本人にさえわからないことが多い。

あなたが職場の管理職にしろ、小さなチームのリーダーにしろ、ともかく人の上に立つ人間であれば、ほんの少しのことに気をつけるだけで大きく評価を上げられるということだ。

ぜひ、勇気を持って礼節ある態度を取るべきだ。そうすれば間違いなく、あなたと接した人は喜んでくれる。そしてきっとあなた自身にとっても喜ばしい結果が待っているはずだ。

クリスティーン・ポラス ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授

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Christine Porath

活気ある職場を作ることを目的とし、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、アメリカ労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行う。
その仕事は、CNN、BBC、『タイム』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フィナンシャル・タイムズ』『フォーブス』など、世界中の1500を超えるテレビ、ラジオ、紙メディアで取り上げられている。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネス・スクールにて博士号取得。博士号を取得する以前は、スポーツ・マネジメントとマーケティングを行う大手企業IMGに勤務。
共著に『The Cost of Bad Behavior』がある。

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