――その点では同じ経験をした人だけが集まる場では安心して心を開けそうです。
お互いに自己紹介をすることで自然な形でグリーフケアができていると思っています。共感をし、「苦しい経験をしたのは自分だけじゃなかった」と気づくのです。
また死別からの期間によって状況や心境は変わりますので、3年以内の方、5年以内の方と会を分けています。30代40代の会、女性だけの会と、テーマでも分けて開催しています。
――交流会を見学したときも、自己紹介を重ねるにつれて泣き声が笑い声に変わっていくのが印象的でした。男女の出会いが目的ではないとはいえ、共感をベースにして恋愛へと発展していくカップルもいそうですね。
2017年は1年間で25組の結婚カップルが誕生しました。私は結婚相談所も運営しているのですが、正直言って天国組会のカップル数のほうが多いです。ただし、事実婚も含めた数です。天国組さんにはそれぞれの事情があります。再婚をすると遺族年金はなくなりますし、子どもがいて生活スタイルが確立していることも少なくありません。週末婚など、無理のない形でお付き合いをされている方も少なくありません。
「結婚相談所」と「天国組会」の違い
――ちょっと失礼な質問になりますが、昼とはいえ食事と飲み放題込みで7000円という会費は安めです。別に経営されている結婚相談所への勧誘窓口、という側面もあるのでしょうか。
天国組会から結婚相談所に来ていただいた方もゼロではありません。ただし、天国組さんと結婚相談所の会員さんは大きな違いがあります。結婚相談所は仕組みとして交際3カ月で成婚するか否かを決めることが求められます。すぐに結婚できる条件がそろっている方に向いている仕組みとも言えるでしょう。
一方、天国組さんにはさまざまな事情があり、すぐに(法律婚としての)再婚をすることは難しい方もいます。だから、まずは交流して元気になってもらうことを目的としています。飲み放題にしているのも、ちょっとすてきな会場を選んでいるのも、楽しんでいただくためです。
価格に関しては、会場に支払うお金を考えると確かに赤字ギリギリの金額です。大阪や名古屋でも開催していますが、私の交通費や宿泊費分だけ高くするわけにもいきません。天国組さんには母子家庭の方もいらっしゃいます。7000円でも高いと言われることもありますよ。できるだけ参加者の方々に負担をかけずに満足度を上げていきたいと思っています。
決して喜ばしいテーマではないので、正直言って運営は大変ですが、皆さんからの支えもあって、こうして続けさせていただいています。人に求めてもらえるのは幸せなことですからね。
天国組の方は結婚された後も私に連絡をくれることがあります。先日も、食事に誘っていただき、3組の結婚カップルと再会してきました。各地での天国組会の前の時間にわざわざ会いに来てくれることもあります。本当にありがたいことだと思っています。
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