伴侶と死別した人限定「天国組」が生まれた理由 若くして最愛の人を失った先の人生は…

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――昨年末からは「異性との出会いを願っている方の会」も開催されていますね。

以前から要望はあったのですが、「天国組さんたちは亡くなった伴侶への思いがなくなったわけではないのに、こんなストレートな趣旨の会をやっていいのだろうか」という戸惑いがありました。実際、参加者の男性でこんな話をしてくれる方もいます。その方には亡くなった奥様との間にお子さんがいて、再婚の話題になると「お父さんはお母さんを裏切るの?」と言われてしまうのだそうです。だから、今日は子どもには内緒で来ました、と教えていただきました。

一方では、参加者の方々の満足度を上げていくこともしなければなりません。異性との出会いを求めている方と、そうではなく気持ちの分かち合いや交流だけを求めている方では温度差があります。同じ方向性や着地点を求めている方に集まっていただいたほうが満足度は上がると実感しています。

――最後に、死別を経験した独身者へのメッセージをお願いします。

「新しい相手を見つけてはいけないのではないか」という思いがあり、天国組会に参加するまでに2年以上の心の準備が必要だったと明かしてくれる方もいます。

男女の出会いを強調していない天国組会は、新しい出会いを見つける心理的な抵抗を下げられたと思っています。この会に来ていただけるのは、悲しみの淵から抜け出して少し元気になってきた証拠です。いつもは1人でコンビニ弁当を食べているという男性が「みんなで食事するなんて久しぶりです」と喜んでくれることもあります。

新しい出会いを見つけることは、決して亡くなった伴侶を忘れることでもないし裏切ることでもありません。お付き合いを始められた方たちには、お互いの亡くなった伴侶のお墓参りに行くことをお勧めしています。

人生100年時代と言われます。1人きりではやっぱり寂しいですよね。パートナーがいると生活に張りが出るのは間違いありません。自分の人生なのだから、もう一度パートナーを持ってもいいのではないでしょうか。

同じ体験をした者同士だからこそ、理解しあえる

天国組会の見学をし、林さんのお話を聞いて強く感じたのは、共感の大切さと難しさだった。自分の状況や気持ちをわかってほしいという思いは誰にでもあるが、その相手は誰でもいいというわけではない。死別を経験した人が友人から「わかるよ」と言われてカチンときてしまったというエピソードはありうることだと感じた。

自分にとって重要な部分で共感し合える相手と出会えれば、他の些末な条件は問題ではなくなるとも言える。かつては想定もしなかったような相手と親しくなり結びつくこともあるだろう。悲しい体験が人生の幅を広げてくれることもあるのだとしたら、絶望から立ち上がって生きていく希望が見える気がする。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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