「たばこのリスク」を甘く見る人が超危険な理由 「常に陸で溺れているような」症状出る場合も
最初から吸わないに越したことはありませんが、喫煙者が禁煙しても効果はあります。日本において20~85歳の約8万人を対象に最大6年間フォローアップした大規模なコホート研究で、喫煙者は非喫煙者と比較して約1.5倍、元喫煙者も約1.3倍も総死亡率が高かったのですが、禁煙してから5年以上経っていた元喫煙者のみを対象にすると、総死亡率に統計学的に有意な差は認められませんでした(※3 Akter S et al., Smoking, Smoking Cessation, and Risk of Mortality in a Japanese Working Population – Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study., Circ J. 2018 Nov 24;82(12):3005-3012.)。
つまり、この研究では、禁煙して5年間が経つとたばこの悪影響が見られなくなりました。5年以上にわたって長く悪影響が観察される他の研究もありますが、今からでも禁煙したほうがたばこを吸い続けるよりも長生きできる確率が高いことは確かです。また、禁煙するなら、なるべく若いうちがよいことも複数の研究で示されています。
「ニコチン依存症」は病気
とはいえ、禁煙は難しいもの。体に悪いとわかっていながらも、なかなかやめられないでしょう。根性がないからでも意志が弱いからでもなく、「ニコチン依存症」という病気だからです。たばこの煙に含まれるニコチンは、脳のニコチン受容体と結合してドーパミンという物質を放出させ、快感や満足感をもたらします。これが繰り返されるうちに、ニコチンがないとイライラするといった不快な症状(離脱症状)を来すようになるのです。
このニコチン依存症は、保険診療で治療できます。ニコチン依存症に対して使用される禁煙補助剤には、ニコチンそのものを補充するタイプ(ガムや貼り薬)と、ニコチン受容体に部分的に結合するタイプ(錠剤)があります。それぞれに長所・短所がありますが、いずれもニコチンの離脱症状を和らげ、禁煙成功率を高めます。
ニコチンガムは薬局でも買えますが、あくまでも「補助剤」です。禁煙外来では、こうした禁煙補助剤に加えて適切なアドバイスももらえますから、近くの禁煙外来がある医療機関で相談してください。若干の費用はかかりますが、禁煙できれば、それ以降のたばこ代が一生涯にわたって節約できるのでお得です。
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