「パニック障害」10人に1人がかかる病の対処法 発達障害の人ほどパニック障害になりやすい

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一度こうしたパニック発作が生じると、誘発物質や環境的な要因によって、繰り返し発作が起こりやすくなるのです。この現象は、人の心の動きを理解するうえで、貴重な材料となります。「パブロフの犬」についての研究をご存じの人も多いでしょう。犬に餌を与えると同時にブザーを鳴らすことを続けると、やがてブザーを鳴らすだけで犬は餌をもらえると思い込み、唾液を垂れ流すようになる、というものです。

ここでは、「ブザーが鳴ると餌がもらえる」という「学習」によって、ブザーという聴覚刺激と唾液腺という本来は関係のないシステムの間に、新しい関連性が生じています。これは、条件づけの学習と呼ばれています。

実は、パニック障害も同じような現象なのです。いうなれば「悪い学習」です。満員電車の中で、たまたま動悸と息苦しさが生じ、不安や恐怖感を覚えたとします。すると、「満員電車」と「動悸や息苦しさ、不安や恐怖感」という、本来は関係のない現象が結び付いてしまうのです。その結果、その人は電車に乗るだけで、あるいは駅に近づくだけで、パニック発作を起こすようになるのです。

治すためにはどうすればいい?

パニック障害は、薬物療法などによって完全に治る人もいます。また、とくに治療をしなくても、自然と症状がみられなくなる場合もあります。パニック障害の人が、自殺未遂や衝動行為などの問題行動に及ぶことはまれで、比較的治療しやすい疾患です。

ただし、完全に症状が消える症例は、おそらく全体の3分の1から半分程度の割合です。1~2割は抗うつ薬、抗不安薬を服用して症状をコントロールしながら暮らしていくことになります。

パニック障害という「悪い学習」を治すには、一時的に困難な状況に立ち向かうことも求められます。例えば、服薬をしながら、苦手な状況である満員電車に乗ってみることが治療の第一歩となることもあるのです。

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