「パニック障害」10人に1人がかかる病の対処法 発達障害の人ほどパニック障害になりやすい

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もっともこの場合には、初めから長時間の乗車は困難であるので、1駅だけなど短時間から練習をしていくことが重要です。

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日常、無理を強いられることが少ない自営業や主婦の方は、どうしても無理をする必要がないために治療が進まないことが多いようです。むしろ、毎日の通勤を余儀なくされる会社員のほうが、治療のモチベーションが高くなります。

一方で、「外出先でパニック発作を起こすのではないか」という恐怖から部屋に引きこもってしまう人もいます。あるいは、電車に乗らずに出勤できるよう、自転車で通える距離の職場に変えた人もいました。

とはいえ、前述した通り、パニック障害は多くの人にみられるポピュラーな疾患です。上司や産業医に説明すれば、理解を得やすいケースが多いのではないでしょうか。症状によっては、通勤ルートを変える、出勤時間を変えるといった対処を相談することが望ましいでしょう。

発作もやがて治まる

幸いにも、発達障害やうつ病とは異なり、パニック障害のみの症状によって業務に支障を来し、休職に至るということはほとんどないと思います。通勤などのつらさはありますが、パニック障害のために仕事を休むということにはならないということです。

実際には、「車内で具合が悪くなり倒れ、遅刻する」というケースは、まれではなくみられます。パニック発作の苦しみは「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどのものですが、臨時の薬を飲み、駅で休んでいるうちに発作は必ず治まります。救急車で運ばれ診察を受けることもありますが、救急病院に着いた頃には発作も治まっていて、「体には異常ありません」と医師から告げられるのです。

岩波 明 精神科医
いわなみ あきら / Akira Iwanami

1959 年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学准教授などを経て、2012 年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。2015 年より昭和大学附属烏山病院長を兼任、2024 年より昭和大学特任教授。ADHD 専門外来を担当。精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。著書にベストセラーとなった『発達障害』(文春新書)のほか、『狂気という隣人 精神科医の現場報告』(新潮文庫)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)など。

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