子供をあやしていたら異変…虐待疑われ、自白しなくても逮捕。《冤罪》生む「揺さぶられっ子症候群」―無実の親が逮捕されるワケ

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『揺さぶられる正義』場面写真
冤罪事件はなぜ起きてしまったのか、上田大輔監督に聞いた(写真:ドキュメンタリー映画『揺さぶられる正義』より)

我が子をあやしていたところ、異変に気付き、急いで病院へ。そして、退院の日、虐待を疑われ、子どもは児童相談所に引き取られてしまう。気が付けば、逮捕、勾留、起訴を経て、刑事裁判で有罪判決が下されていた――。そんな、揺さぶられっ子症候群(通称SBS)による冤罪事件が相次いで起きている。乳幼児を持つ親ならば誰もが巻き込まれる可能性のある事件はなぜ起きてしまったのか。

今回は、4家族の8年間を描いたドキュメンタリー映画『揺さぶられる正義』の監督、関西テレビ所属「弁護士記者」の上田大輔さんに刑事事件における冤罪の構造などについて聞いた。

上田大輔監督(写真:筆者撮影)
上田大輔監督(写真:筆者撮影)
上田大輔(うえだ・だいすけ)監督
1978年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部、北海道大学法科大学院卒業。2007年司法試験合格。2009年に社内弁護士として関西テレビへ入社し法務担当を経て、2016年に記者に。揺さぶられっ子症候群(SBS)取材で、日本民間放送連盟賞最優秀・ギャラクシー賞選奨、刑事司法の壁に挑んだ一連の検証報道でギャラクシー賞優秀賞を受賞。

多くの冤罪生んだ『揺さぶられっ子症候群』とは何か

――揺さぶられっ子症候群とは何か、そして、なぜ冤罪が多発するのかについてお聞かせ下さい。

上田大輔監督(以下、上田):揺さぶられっ子症候群とは、病院に運ばれた赤ちゃんの頭の中で硬膜下血腫など出血があった時に、外傷がないと疑われる病名です。その要件は、①硬膜下血腫②脳浮腫③眼底出血であり、この3つがあれば、1秒間で3往復の激しい揺さぶりがなされたと判断して、医師がSBS(Shaken Baby Syndrome/揺さぶられっ子症候群)と診断するケースが数多くあります。

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