子供をあやしていたら異変…虐待疑われ、自白しなくても逮捕。《冤罪》生む「揺さぶられっ子症候群」―無実の親が逮捕されるワケ

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――SBSの冤罪事件に特有の特徴はあるのでしょうか。

上田:袴田事件もそうなのですが、従来の冤罪事件は、密室の取り調べで虚偽自白を迫られることが多い。

一方、SBSの場合は科学的証拠が問題になる事件なので、いわゆる従来の冤罪事件とは少し違います。被疑者が虐待を疑われていることに気が付いて比較的早く弁護人に辿り着きやすい。そうすると、アドバイスを受けて黙秘するので、SBSにおける虚偽自白事件は比較的少ない。劇中に登場する4家族の方々も、弁護人から指示を受けて事件に関する供述はしていません。自白はなく、医師の証言だけで逮捕されています。赤ちゃんに対して何もせずに、逮捕、起訴されたケースもあります。

SBSにおける虚偽自白事件はほとんどないという(『揺さぶられる正義』場面写真)
(『揺さぶられる正義』場面写真)

無罪が確定した判決は11件にのぼる

――医師の診断があれば、警察は裁判所に令状請求をして逮捕してしまうのでしょうか。

上田:警察は検察に相談しながら捜査を進めているので、検察が、裁判における複数の医師の証言の確保の目処が立ち、この事件は有罪にできる、とゴーサインを出したら、令状を請求して逮捕します。そして、裁判所は医学的には素人なので、基本的に「専門医が言っているのだから信用する」というスタンスを取っています。

SBSで逮捕されるケースが出始めた頃は、「3徴候があれば激しい揺さぶりがあった」と推定されていました。弁護人にとっても新しいタイプの事案で現在のような知識がなかった。そして、「揺さぶり」があったことを前提に、何とか被告人とは別の人の行為に原因を求めようとするというパターンが続いていました。

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