子供をあやしていたら異変…虐待疑われ、自白しなくても逮捕。《冤罪》生む「揺さぶられっ子症候群」―無実の親が逮捕されるワケ
そして、その診断は、最後に一緒にいた大人の虐待を推定してしまいます。つまり、「症状がある」→「激しく揺さぶった人がいるはずだ」→「最後に一緒にいた大人でしか、激しい揺さぶりはできない」→「最後に一緒にいた大人が激しく揺さぶって暴行した」という流れです。日本では2010年代に急激にこの種の逮捕・起訴が増え、冤罪事件が多発しました。

――医師から警察へ通報して逮捕に至るのでしょうか。
上田:そうです。医師は虐待事案として警察と児童相談所に通報します。通報を受けた警察は、赤ちゃんが亡くなったり、重傷化していることから力を入れて捜査します。
しかし、裁判上の証拠は、医師の診断と鑑定だけです。虐待を専門にしている複数の医師たちが上述した3徴候を元に「脳内の出血は落下しただけでは起きない。生後1ヶ月検診でも特に異常がなかったので病気ではない」として、最後に一緒にいた大人による揺さぶりによって、死亡や重傷化の結果を招いた、と判断しています。
そして、捜査機関は「激しく揺さぶった」として、故意を認め、過失犯ではなく「暴行罪」を適用します。なので、最終的には傷害罪や傷害致死罪が適用されます。
他の冤罪事件とは異なる点「自白無しで逮捕」
――どのようにして捜査が始まるのでしょうか。
上田:お子さんが入院したり、または通院を続ける中で、担当医師やケアワーカーから夫婦別々で呼び出されます。そして、「叩きましたか?あやしていましたか?急に様子が変わりましたか?」などと聞かれます。そしてそれらを説明しても、「他にありませんでしたか?」と。要するにSBSの事案だと最初から疑っている。
警察から呼ばれるタイミングは人それぞれです。すぐに病院から通報があり、その日のうちに警察が来るケースもあれば、翌日から家宅捜索が始まるケースもあります。
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