「スピルバーグやゲイツ」も通った成功への裏道 自分の小さな殻を打ち破る「サードドア」

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とはいえ一介の大学生にすぎないアレックスに、著名人たちへのコネなどあるはずもない。失敗の不安を抱えながら、トイレで待ち伏せして会おうとしたり、何度も何度も売り込みの「コールドメール」を送ったり。どうにかして突破口を開こうとする。

この本にはその売り込みメールの文章も掲載されている。世の中の右も左もわかっていなかったアレックスのメールが、少しずつ洗練されていくところも面白い。無謀でミーハーな若者の賭けであり、挑戦物語であるが、同時に自らの内面の深いところで自分を発見していく、自己発見の旅でもある。

セレブたちの素顔と成功のルールとは?

本書が既存の自己啓発本を圧倒するのは、その登場人物と、彼ら彼女らの発する一言一句の重みである。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツをはじめ、TED創設者のリチャード・ソール・ワーマン、ハリウッド女優で起業家としても大成功したジェシカ・アルバ、音楽プロデューサーとして名高いクインシー・ジョーンズなど、次から次へと有名人が登場する。

読者にとっては、さまざまなセレブの素顔を垣間見ることができる「コスパのいい」本だといえる。アレックスにインタビューのやり方を手ほどきするのは、生涯5万人をインタビューしたという世界最高のインタビュアーの1人、CNNのラリー・キング。彼はインタビューを成功させる秘訣は「自分らしくいることだ」と伝える。

アレックスのメンター役を買って出たのは、人脈作りの天才であり起業家のエリオット・ビズノー。彼からは、「ミーティング中は決して携帯を見るな」「神秘(ミステリー)が歴史(ヒストリー)をつくる」など、多くの人生のルールを学ぶ。

エリオットはあるとき著者にこう話す。「生きるのに必要な額以上のお金はさ、『ゲームに参加するために』使うんだ」。

そんなエリオットの教えを受けながらも、インタビューはなかなかうまくいかない。やっと会ってもらえても、うまく話を引き出せなくて落ち込む日々が続く。

用意しておいた質問がうまくいかず、やぶれかぶれにビル・ゲイツに聞いた質問はこれだった。

「最初の頃の、最も思い出に残るバカげた笑い話は何ですか?」

するとゲイツは日本企業とのミーティングの様子について語り、ビジネスパートナーであった西和彦との思い出を懐かしむ。

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