しゃけ弁当はニジマス弁当になるのか?

メニュー表示のガイドラインで業界に波紋

昨年12月に消費者庁が公表したメニュー表示のガイドラインが物議を醸している

消費者庁はこの問題にどこまで手を入れるのか――。昨秋から芋づる式に発覚した有名ホテルや百貨店でのメニュー表示偽装。一連の問題を受けて、消費者庁が公表したメニュー表示に関するガイドラインの「素案」が業界に波紋を広げている。

昨年12月19日に消費者庁が示した「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について(案)」には、「牛の成形肉を焼いた料理のことを『ビーフステーキ』『ステーキ』と表示してもよいでしょうか」「飲食店のメニューに『ロコ貝』を『鮑(あわび)』と表示しても景品表示法上問題ありませんか」など、肉類や魚介類、農産物まで具体的なQ&Aが35項目例示されている。

サーモントラウトはニジマス

この中で業界関係者が気にかけているのは、サーモントラウトを巡る消費者庁の見解だ。

今回の案では、「飲食店のメニューに『サーモントラウト』を『サーモン』と表示しても景品表示法上問題ありませんか」という質問項目を例示し、「問題となります」と明記している。

理由はこうだ。まず、JAS法に基づいた「魚介類の名称のガイドライン」で、サーモントラウトの標準和名(日本で学名の代わりに使われる生物の名称)は「ニジマス」であり、標準和名「サケ」とは異なる魚類だというもの。

”本家”のサケはニジマスと同等に扱われたくない?(写真:アフロ)

そして、ニジマスをサーモンと表示して料理を提供すると、消費者は「鮭(サケ)」が使われていると認識すると考えられる。このため、「『ニジマス』であるにもかかわらず、『サーモン』と表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります」として、景品表示法上問題(優良誤認表示)というのだ。

消費者庁の見解で、こうした表示方法がアウトならば、どうなるのか。

たとえば、プレナスが運営する弁当チェーン「ほっともっと」の「しゃけ弁当」には、サーモントラウトが使用されている(ホームページのメニュー表には「トラウトサーモン使用」と記載)。これを今回のガイドラインと照らし合わせると、「しゃけ弁当」の表示は”問題あり”とされ、「ニジマス弁当」ないし「サーモントラウト弁当」というように、見直しが必要になるかもしれない。

ニジマスはサケ科の魚類

「しゃけ弁当」と表示してきたことについて、プレナスのコミュニケーション室は、「トラウトサーモンはサケ目サケ科に属する魚であり、サーモンとして広く認知されている。消費者に分かりやすく伝えるという点を考慮し、『しゃけ弁当』という表示にした」と説明する。

プレナスとしてはサーモントラウトを使用する理由もある。「秋鮭などと比べると脂のノリがよく、冷めても味が落ちにくく弁当に適した食材。相場でも秋鮭に比べて決して安価というわけではない」(コミュニケーション室)。

ほかにもプレナスと同じく、大手牛丼チェーンの吉野家の「牛鮭定食」には、発売以来サーモントラウトを使用している。表示の理由はプレナスと同様で、「サケ目サケ科に属する魚」という理由だ。

かといって、消費者庁の見解をないがしろにするわけにもいかない。仮に、ガイドラインが何の変更もなく正式に決定した場合、両社ともメニュー表示の見直しを検討する意向だ。

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