「カジノの日本上陸」が不安な人が知るべき事実 「IR」の主役は実は別のところにある
ある大手日本企業の経営者から聞いた話で、今でも印象に残っているものがあります。彼の会社は自社の新製品の展示会を開くために、わざわざラスベガスで会場を借りているとのことでした。彼は、ラスベガスでは1つの施設内で会議、展示会、宿泊、食事、仕事を終えた後のエンターテインメントによる息抜きを含め、すべてを済ませられるが、日本にはそうした場所がないと嘆いていました。
大きな国際会議や展示会が開かれるとなれば、数万人規模の関係者が期間中にその地域にやってきます。その日の予定終了後には、関係者が宿泊する施設が必要です。加えて、会議を終えた関係者が楽しめるエンターテインメントを提供できれば、さらに顧客満足度は高まります。
世界トップレベルのMICE施設を備えることで、今以上に国際的な会議や学術会議などを日本で開催できるようになります。私自身、外交官時代に数多くの会議に出席したのでよくわかるのですが、こうした会議はまさに国際交流の場であり、会議の参加者たちに国の文化、伝統などを見てもらう絶好の機会となりえます。
ギャンブル等依存症にどう対処するのか
――IRにはカジノ以外の機能があるのはわかりました。それでもやはりカジノがあるとなると、どうしてもギャンブル等依存症の問題に目を向けざるをえません。
確かにそうですね。カジノを運営する企業にとってギャンブル等依存症は避けては通れない問題であり、どの企業も真剣に向き合う姿勢を見せています。責任あるゲーミングへの意識を保ち、対策を徹底すれば、問題の深刻化を早い段階で防ぐことも可能です。しかし残念ながら、プレーヤーのなかには過度に傾倒してしまう方がいらっしゃいます。
ギャンブル等依存症への対応策として、MGMでは最新の対策を用意し、それが必要だと思われる顧客がいれば、すぐに提供できる体制を整えています。カジノで得た収益の一部はギャンブル依存の研究資金として寄付されており、研究結果を治療と対策に導入するプロセスにも資金が投じられています。
とくに「ゲーム・センス」という“責任あるゲーミング”プログラムを導入しています。ゲーム・センスは、プレーヤーに正しい知識を提供し、彼らが楽しくゲームが続けられるように、ギャンブルに伴うリスクの周知を徹底させ、問題があるプレーヤーがいらっしゃった場合は、相応の関係各機関にご紹介し、サポートを円滑に得られる手助けをすることを含め、節度を保った安全なプレーを推奨する包括的なプラットフォームです。
プログラムの中身を一部紹介すると、自分でプレーの予算上限を設定し、決められた範囲内で楽しむシステムを提供したり、カジノの各ゲームの勝率などを明確にし、それらを理解したうえで責任を持ってプレーしていただくといったものです。
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